Science/Research 詳細

エネルギー分散型蛍光X線分析装置「ALTRACE」発売

September, 10, 2024, 京都--島津製作所はエネルギー分散型蛍光X線分析装置「ALTRACE(アルトレス)」を発売した。「ALTRACE」は、X線光学系と信号処理系の設計を一新して、微量無機元素の高感度な測定を実現した、同社エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)のフラッグシップモデル。
最大48試料を連続分析でき、試料数の多い分析で作業効率が向上する。島津は、この製品を化学・食品・化粧品・医薬品関連の原料やリサイクル原料の検査、環境・産業廃棄物など規制関連の受託分析用途向けに販売する。

EDXは測定試料にX線を照射することで試料中の無機元素の種類やその量を測る。試料を容器に入れるだけで測定でき、煩雑な前処置が不要。液体から粉末まで幅広い試料に対応し、その他の無機元素の測定手法と比較して迅速かつ容易なため、食品や環境などの業界で広く活用されている。
近年、食品や飲料水に加えて家具・家電・玩具などに含まれる有害な重金属に対する規制が強化され、製造・出荷工程での検査を目的としたEDXの需要が高まっている。分析装置に不慣れなユーザが使う場面も増え、簡単かつ高感度に測定できる装置が求められている。

「ALTRACE」は、高出力のX線源、高効率の新検出器、高速の信号処理回路、コンパクトかつ高効率な光学系を採用した。いずれの元素も島津が従来機種と比較して検出下限が向上し、測定感度は業界最高クラスを達成した。コンパクトな装置サイズと最大48試料収納可能なトレイを両立したことで、省スペースかつ高い測定効率を実現する。島津製作所はこの製品を通じて、食品や化粧品・医薬品といったあらゆる製品の安全性検査、環境検査の効率化に貢献する。

新製品の特長
1. 卓越した高感度分析を実現
「ALTRACE」は、業界最高クラスの出力を有するX線源や高感度検出器、高速の信号処理回路により、有機物中のカドミウム、鉛など有害重金属において業界最高クラスの感度となる0.1ppmレベルの検出下限を実現した。また、8種類のX線フィルタの自動切り替え機能を搭載し、目的成分を阻害する特定のX線をカットすることで微量元素も測定可能。高速・高感度化に伴い、目的の分析精度に達するまでに必要な時間は同社従来機種比3分の1に短縮した。

2. 連続自動分析がラボの効率性を向上
新製品では最大48試料の連続自動分析が可能となった。多数の試料を測定する検査部門の利用に適している。また、連続分析のスケジュールを一時停止して試料を追加・変更する「割り込み測定」も可能で、ラボの状況に柔軟に対応する。「割り込み測定」時には測定部から独立した試料トレイを引き出して入れ替えが可能で、駆動部への接触を防ぎユーザの安全を確保する。

3. 簡便な前処理と卓上設置可能な装置サイズ
新製品は、専用の試料容器に入れるだけで、液体から粉末、ペレット状の固体試料まで幅広く測定できる。試料を溶解するなどの化学的な前処理は不要。また、本体幅710mm内に48試料対応トレイを標準で内蔵しており、空間に制限のあるラボの実験台にも設置できる。