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量子コンピュータ用誤り訂正技術の高効率化に成功

September, 9, 2024, 和光--理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子コンピュータアーキテクチャ研究チームの後藤隼人チームリーダーは、量子コンピュータのための誤り訂正技術を高効率化することに成功した。

この研究成果は、誤り訂正技術によって誤りを訂正しながら量子計算を実行する誤り耐性量子コンピュータの早期実現に貢献すると期待できる。

今回、後藤 チームリーダーは、高い符号化率(レート)を有する量子誤り訂正符号「多超立方体符号」を提案した。例えば、216個の物理量子ビット(qubits)を用いて64個の論理量子ビットを符号化でき、符号化率を64/216≒30%と高くできる。また、専用の高性能な復号器や符号化器を開発することで、符号化率が高いにもかかわらず、符号化率が低い従来符号と同程度の誤り訂正性能を有する。言い換えると、同じ誤り訂正性能を従来よりも少ない物理量子ビット数で実現できる。さらに、従来の高レート符号では比較的困難であった論理量子ゲートの並列実行も可能。以上から、多超立方体符号は、高レート符号と論理量子ゲートの並列実行を両立する「ハイパフォーマンス誤り耐性量子コンピュータ」を実現できると期待される。

研究成果は、科学雑誌『Science Advances』オンライン版(9月4日付:日本時間9月5日)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)