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メタバース空間で”触感”を得られる次世代デバイス

September, 5, 2024, 名古屋--名古屋大学大学院工学研究科の部矢明准教授(研究代表者)、内藤出 博士前期課程学生、井上剛志教授の研究グループは、次世代の力触覚インタフェースとしての活用に向け、3つのコイルだけで3次元上のあらゆる方向へ振動する高出力・コンパクトな「3次元振動モータ(XReactor:クロスリアクタ)」を提案した。

近年、メタバースやVR・AR・MRコンテンツでの手触り・反力感などの力触覚体験を実現するため、振動デバイスが注目されている。実世界において、人は指先で3次元の複雑な力触覚を感じているため、仮想空間においても3次元の力触覚提示が理想となる。しかし、一般に振動デバイスは1軸振動しかできず、3次元振動は困難。その理由は、3次元振動を実現するためには少なくとも3つ以上の振動モータを組み合わせる必要があり、振動中心のずれや、大型化、重量増加が課題となるためである。

研究チームは、1台で3次元振動を実現する「3次元振動モータ」を提案した。提案モータでは、振動子に対して3コイルが内から外へ重ねて巻かれており、各コイル通電時に生まれる永久磁石との磁気吸引・反発力によって、あらゆる方向へ振動する。振動子は1つのみであり、バネで支持することで、3次元動作を実現している。少数部品で構成可能なため、小型・軽量化に有利。また、永久磁石・コイル体積を大きくとれる構造のため、高出力が達成されている。新開発の3次元振動モータは、全ての振動利用機器の高度化が可能であり、今後さらなる応用が期待できる。

要点
・3コイルで3次元振動:3つのコイルだけで3次元上のあらゆる方向へ振動が可能な「3次元振動モータ」を開発。
・小型・軽量:少数部品で構成可能であり、小型かつ軽量で携帯性に優れる。
・高出力密度:永久磁石・コイル体積を大きくとれる構造のため高出力。
・力触覚提示の高度化:振動を利用した力触覚提示技術を応用し、メタバースやVR・AR・MRの新たな3次元力触覚インタフェースとして活用可能。