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EPFL、量子冷却のための2Dデバイス

September, 4, 2024, Lausanne--EPFLのエンジニアは、宇宙空間よりも低い温度で熱を効率的に電圧に変換できるデバイスを作成した。このイノベーションは、最適に機能するために非常に低い温度を必要とする量子コンピューティング技術の進歩に対する大きな障害を克服するのに役立つ可能性がある。

量子計算を実行するには、量子ビット (qubits) をミリケルビン範囲 (-273℃付近) の温度まで冷却して、原子の動きを遅くし、ノイズを最小限に抑える必要がある。しかし、これらの量子回路を管理するために使用される電子機器は熱を発生し、このような低温では熱を取り除くのが困難である。そのため、現在のほとんどの技術では、量子回路を電子部品から分離する必要があり、ノイズや非効率性を引き起こし、ラボを超えたより大きな量子システムの実現を妨げている。

工学部のAndras Kisが率いるEPFLのナノスケール電子構造研究所(LANES)の研究者は、超低温で動作するだけでなく、室温での現在の技術に匹敵する効率でそれを実現するデバイスを開発した。

「われわれは、現在の技術の変換効率に匹敵するデバイスを作成し、量子システムに必要な低磁場と超低温で動作するデバイスを最初に作成した。この研究は実に一歩先を行くものである」とLANESのPh.D学生であるGabriele Pasqualeは話している。

この革新的なデバイスは、グラフェンの優れた導電性とセレン化インジウムの半導体特性を兼ね備えている。わずか数原子厚さで、2次元の物体として振る舞い、この新しい材料と構造の組み合わせにより、これまでにない性能を発揮する。研究成果は、Nature Nanotechnology誌に掲載された。

ネルンスト効果の活用
このデバイスは、温度が変化する物体に垂直に磁場が印加されると電圧を生成する複雑な熱電現象であるネルンスト効果を利用している。ラボのデバイスの2次元性により、このメカニズムの効率を電気的に制御できる。

2D構造は、EPFLマイクロナノテクノロジーセンタとLANESラボで作製した。実験では、レーザを熱源として使用し、特殊な希釈冷凍機を使用して100ミリケルビン(宇宙空間よりもさらに低い温度)に到達した。このような低温で熱を電圧に変換することは、通常、非常に困難だが、新しいデバイスとネルンスト効果の利用によりこれが可能になり、量子技術の重要なギャップが埋められる。

「寒いオフィスのラップトップを考えると、ラップトップは動作中に熱くなり、部屋の温度も上昇する。量子コンピューティングシステムでは、現在、この熱が量子ビットを乱すのを防ぐメカニズムはない。われわれのデバイスは、この必要な冷却を提供できる」(Pasquale)。

物理学者Pasqualeは、この研究が、これまで十分に調査されていなかった現象である低温での熱電力変換に光を当てるという点で重要であると強調している。高い変換効率と製造可能な電子部品の使用を考えると、LANESチームは、そのデバイスがすでに既存の低温量子回路に統合できると考えている。

「これらの知見は、ナノテクノロジーの大きな進歩であり、ミリケルビン温度での量子コンピューティングに不可欠な高度な冷却技術の開発に有望視されている。この成果は、将来の技術のための冷却システムに革命をもたらす可能性があると考えている」と、Pasqualeはコメントしている。