August, 29, 2024, 和光--理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 時空間認知神経生理学研究チームの藤澤茂義 チームリーダーと大内彩子 基礎科学特別研究員の研究チームは、嗅内皮質(きゅうないひしつ)において、自らの将来の位置に対して空間を格子(グリッド)状に表現するニューロン(神経細胞)を発見した。
この研究成果は、動物やヒトにおける空間認識や未来予測の神経基盤の理解に貢献すると期待される。
今回、研究チームは、ラットが広い環境で探索行動をしているとき、嗅内皮質において、そのラットの数十センチメートル先の将来の位置に対して空間を格子状に表現する「予測的格子細胞」を発見した。予測的格子細胞は、進行方向に対して格子場をシフトさせることで、将来の空間情報を表現していた。予測的格子細胞は海馬のシータ波と呼ばれる脳波の谷の位相で活動し、他のタイプの格子細胞とともに、各シータ波の周期全体にわたって現在位置から未来位置への軌跡の情報を構成していた。この結果は、嗅内皮質が空間ナビゲーションにおいて、将来の計画をサポートする予測マップを提供していることを示している。
研究成果は、科学雑誌『Science』オンライン版(8月16日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)