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PSI、コンピュータチップはもっと小さくなる

August, 26, 2024, Switzerland--Paul Scherrer Institute PSIの研究者は、フォトリソグラフィとして知られるプロセスの解像度を向上させてきた。研究チームは、自分たちの技術を使ってコンピュータチップの小型化を進めたいと考えている。

コンピュータチップの小型化は、デジタル革命の鍵の1つである。これにより、コンピュータはますます小さくなり、同時により強力になる。これは、自動運転、人工知能、モバイル通信の5G規格などの開発の前提条件である。現在、ポール・シェラー研究所PSIのX線ナノ科学・技術研究所のIason Giannopoulos、Yasin Ekinci、Dimitrios Kazazisをリーダーとする研究チームは、さらに高密度の回路パターンを作成する技術を考案した。現在の最先端のマイクロチップは、12nm、つまり人間の髪の毛の約6000倍の細さで分離された導電性トラックを備えている。対照的に、研究チームは、わずか5nmの間隔でトラックを作成することに成功した。その結果、従来よりも回路をはるかにコンパクトに設計することができる。「われわれの研究は、光のパターニングの可能性を示している。これは、産業界と研究の両方にとって大きな前進である」(Giannopoulos)。

マイクロチップは、シネマスクリーン上の写真のように製造される
つい最近の1970年には、マイクロチップ上には約1000個のトランジスタを搭載するスペースしかなかった。今日では、指先ほどの大きさの領域に約600億個のコンポーネントを収納できる。これらのコンポーネントは、フォトリソグラフィと呼ばれるプロセスを使用して製造される、シリコンの薄いスライスであるウェーハに感光層、フォトレジストがコーティングされている。次に、それにマイクロチップの設計図に対応する光のパタンが露光される。これにより、フォトレジストの化学的特性が変化し、特定の化学溶液に可溶または不溶になる。その後の処理により、露光(ポジティブプロセス)または非露光(ネガティブプロセス)領域が除去される。最終的に、導電性トラックがウエファ上に残され、目的の配線パターンが形成される。

使用する光の種類は、小型化とマイクロチップの小型化に不可欠である。物理法則では、使用する光の波長が小さいほど、画像内の構造をより密接に詰め込むことができるとされている。長い間、業界では深紫外線(DUV)が使用されていた。このレーザ光の波長は193nmである。それに比べて、人間の目に見える青色光の範囲は約400nmで終わる。

2019年以降、メーカーは従来の10倍以上短い波長13.5nmの「極端紫外線」(EUV)を大量生産に使用している。これにより、10nm以下の微細な構造をプリントすることが可能になる。PSIでは、研究者は、業界標準に従って13.5nmに調整されたSwiss Light Source SLSからの放射線を研究に使用している。

フォトンベースのリソグラフィは、非常に高い解像度を達成可能
しかし、PSIの研究者は、サンプルを直接ではなく間接的露光により、従来のEUVリソグラフィを拡張した。EUVミラー干渉リソグラフィ(MIL)では、相互にコヒレントな2つのビームが2つの同一のミラーによってウエファに反射される。次に、ビームは、その周期が光の入射角と波長の両方に依存する干渉パターンを作成。このグループは、1回の露光で5nmの分解能、つまりトラック分離を達成することができた。電子顕微鏡で見ると、導電性トラックは高コントラストで鋭いエッジを持っていることがわかった。Kazazisは、「われわれの結果は、EUVリソグラフィが非常に高い解像度を生成できることを示しており、まだ基本的な制限がないことを示している。これは、われわれが可能と考えるものの視野を広げ、EUVリソグラフィやフォトレジスト材料の分野における研究の新たな道を開くことができるため、非常にエキサイティングである」とコメントしている。