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Bath大学、量子コンピューティング時代に適した光ファイバ

August, 23, 2024, Bath--Bath大学の物理学者チームは、量子コンピューティングに期待されるデータ転送課題に対処するために、新世代の特殊光ファイバを開発した。

量子技術は、比類のない計算能力を提供することを約束し、複雑な論理問題を解決し、新薬を開発し、安全な通信のための解読不可能な暗号化技術の提供を可能にする。しかし、Bathチームによると、「今日、地球上に情報を伝送するために使用されているケーブルネットワークは、光ファイバの強固なコアのために、量子通信には最適ではない可能性が高い」。

通常の光ファイバとは異なり、Bathで製造された特殊ファイバは、ファイバの全長に沿って走るエアポケットの複雑なパターンで構成されるマイクロ構造のコアを備えている。

「今日の通信ネットワークの主力製品である従来の光ファイバは、シリカガラスの損失によって完全に支配される波長で光を伝送する。しかし、これらの波長は、光ベースの量子技術に必要なシングルフォトンソース、量子ビット(qubits)、および活性光学部品の操作波長に適合しない」と、同大学物理学部のDr Kristina Rusimovaはコメントしている。

同氏とチームは、Bathで製造された最先端のファイバと、量子コンピューティングの新興分野における他の最近および将来の開発について、Applied Physics Letters Quantumに掲載された学術論文で説明している。

この論文の筆頭筆頭著者であるDr Rusimovaは、「光ファイバの設計と製造は、Bath大学物理学部の研究の最前線にあり、量子コンピュータを念頭に置いて開発している光ファイバは、明日のデータ伝送ニーズの基盤となる」と付け加えている。

量子エンタングルメント
最近までバースの物理学者であり、論文の筆頭著者、Dr Cameron McGarryは、「量子インターネットは、このような新興の量子技術の大きな約束を実現するための重要な要素である。

「既存のインターネットと同様に、量子インターネットは光ファイバに依存してノードからノードに情報を配信する。これらの光ファイバは、現在使用されているものとは大きく異なる可能性が高く、有用であるためには異なるサポート技術が必要になる。」

そのような視点で、研究チームは光ファイバ技術の観点から量子インターネットの関連する課題について議論し、堅牢で大規模な量子ネットワークのスケーラビリティのための一連の潜在的な解決策を提示している。これには、長距離通信に使用されるファイバと、この技術が動作可能な距離を延長するためにネットワークに直接統合された量子中継を可能にする特殊ファイバの両方が含まれる。

ノード接続を超えて
Dr McGarryは、「テレコムに標準的に使用されている光ファイバとは異なり、Bathで日常的に製造されている特殊ファイバは、ファイバの全長に沿って走るエアポケットの複雑なパタンからなるマイクロ構造のコアを持っている。

「これらのエアポケットのパタンにより、研究者はファイバ内の光の特性を操作し、エンタングルフォトンペアを作成したり、フォトンの色を変更したり、ファイバ内の個々の原子を閉じ込めたりすることができる。」

「世界中の研究者が、産業界が関心を持つ方法で、微細構造光ファイバの能力を急速かつ刺激的な進歩を遂げている」と、物理学部のポスドク研究員Dr Kerrianne Harringtonは話している。
「われわれの視点は、これらの新しいファイバのエキサイティングな進歩と、それらが将来の量子技術にどのように役立つかを示している。」

バースのEPSRC Quantum Career Acceleration Fellow、Dr Alex Davisは、「ファイバが光をしっかりと閉じ込め、長距離にわたって伝送する能力が、ファイバを有用にしているのである」と付け加えている。

「これにより、エンタングルフォトンを生成するだけでなく、量子コンピューティング、精密センシング、難攻不落のメッセージ暗号化などのアプリケーションを使用して、よりエキゾチックな光の量子状態を生成できる。」

量子の利点(量子デバイスが従来のコンピュータよりも効率的にタスクを実行する能力)は、まだ決定的に実証されていない。この視点で特定された技術的課題は、量子研究の新たな道を開き、この重要なマイルストーンの達成に近づく可能性がある。Bath大学で製造された光ファイバは、明日の量子コンピュータの基礎を築くのに役立つと期待されている。