August, 23, 2024, 札幌--北海道⼤学電⼦科学研究所の曲 勇作助教、太⽥裕道教授らの研究グループは、⾼知⼯科⼤学理⼯学群の古⽥ 守教授らと共同で、従来⽐10倍の性能を⽰す実⽤レベルの酸化物薄膜トランジスタを実現した。これは、次世代の超⼤型8K有機ELテレビ開発を後押しする成果である。
現在の4K有機ELテレビの画⾯には酸化物IGZO薄膜トランジスタが使⽤されている。その電⼦移動度は5~10cm2/Vs程度だが、次世代の超⼤型8K有機ELテレビを開発するためには70cm2/Vs以上の電⼦移動度を⽰す酸化物薄膜トランジスタが必要不可⽋。研究チームは、2022年に電⼦移動度140cm2/Vsを⽰す酸化インジウム薄膜トランジスタを実現したが、安定性が極めて悪いという、実⽤化に向かない⼤きな⽋点があった。
研究では、不安定性の原因になっている空気中の気体分⼦の吸着・脱離が起こらないように、酸化インジウム薄膜の表⾯を原⼦レベルでピッタリ保護する膜で覆うことで、⾼い電⼦移動度(移動度78cm2/Vs)を維持したまま、安定性を⼤きく改良することに成功した。現在の画⾯サイズの4倍の超⼤型8K有機ELテレビ実現に向けた⼤きな成果と⾔える。
研究成果は、2024年8⽉3⽇(⼟)公開のSmall Methods誌に掲載された。
論文名:Reliable Operation in High-Mobility Indium Oxide Thin Film Transistors(高移動度酸化インジウム薄膜トランジスタの高信頼性化)