持続可能/可逆的3Dプリンティング法、最小限の材料とステップを使用

August, 22, 2024, San Diego--UC San Diegoのエンジニアが開発した新しい3Dプリント方法は非常にシンプルで、ポリマインクと塩水溶液を使用して固体構造を作成する。Nature Communicationsに掲載されたこの研究は、材料製造をより持続可能で環境に優しいものにする可能性を秘めている。

このプロセスでは、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、略してPNIPAMとして知られる液体ポリマ溶液を使用する。このPNIPAMインクを針で塩化カルシウム塩溶液に押し出すと、塩水と接触して瞬時に固化する。研究者はこのプロセスを使用して、固体構造を簡単にプリントした。

この急速な凝固は、塩イオンが水に強く引力を持つため、水分子をポリマ溶液から引き出す塩析効果と呼ばれる現象によって駆動される。この水分の除去により、PNIPAMインク中の疎水性ポリマ鎖が密集し、固体が形成される。

「これはすべて周囲条件下で行われ、追加の手順、特殊な機器、有毒化学物質、熱、圧力は不要である」と、UC San Diegoジェイコブス工学部のAiiso Yufeng Li Family Department of Chemical and Nano Engineeringの教授Jinhye Baeは話している。

ポリマを固化するための従来の方法では、通常、エネルギー集約的なステップと刺激の強い物質が必要である。対照的に、この新しいプロセスは、PNIPAMと室温での塩水との間の単純な相互作用を利用して、環境コストなしで同じ結果を達成する。

さらに、このプロセスは可逆的である。生成された固体構造は、淡水に簡単に溶解でき、液体の形に戻ることができる。これにより、PNIPAMインクを次のプリンティングに再利用できる。「これにより、ポリマ材料をリサイクルするためのシンプルで環境に優しいアプローチが提供される」(Bae)。

その方法の多様性を実証するために、研究チームは他の材料を含むPNIPAMインクから構造をプリントした。例えば、PNIPAMとカーボンナノチューブを混ぜたインクを使って電気回路をプリントし、電球に電力を供給することに成功した。このプリント回路は淡水に溶解することもでき、水溶性でリサイクル可能な電子部品を作成する可能性を示している。

Baeとチームは、このシンプルで可逆的な3Dプリンティング技術が、環境に優しいポリマ製造技術の開発に貢献できると考えている。