August, 15, 2024, Austin--何十年もの間、UT、Max Planck Institute for the Structure and Dynamics of Matter (MPSD)の科学者たちは、コンピュータメモリ、化学センサ、量子コンピュータなど、様々なアプリケーションに役立つ可能性のあるマルチフェロイックと呼ばれる珍しい材料のグループを研究してきた。
Natureに発表された研究で、テキサス大学オースティン校とマックス・プランク物質構造・ダイナミクス研究所(MPSD)の研究者らは、層状マルチフェロイック物質、ヨウ化ニッケル(NiI2)は、非常に高速でコンパクトなデバイスとしては、これまでで最も有力な候補となる可能性を証明している。
マルチフェロイックには電気磁気結合と呼ばれる特殊な性質があり、物質の磁気特性を電場で操作したり、磁場で電気特性を操作したりできる。研究チームはNiI2が、この種の既知のどの材料よりも大きな磁気電気結合を持つことを見出した。それは、技術進歩の有力な候補となっている。
「原子レベルで薄いヨウ化ニッケルフレークのスケールでこれらの効果を明らかにすることは、大変な挑戦だった」と、UTの物理学のポスドク研究員、論文の共同筆頭著者、Frank Gaoは語っている。
「われわれの発見は、磁気メモリを含む、非常に高速でエネルギー効率の高い磁気電気デバイスへの道を開くものである」と、プロジェクトのもう一人の共同筆頭著者、大学院生のXinyue Pengは付け加えた。
電場と磁場は、世界を理解するための、また現代の技術にとって基本である。物質の内部では、電荷と原子磁気モメントが、それらの特性が加算され、電気分極または磁化を形成するように秩序化する可能性がある。このような材料は、これらの量のどれが秩序ある状態にあるかに応じて、強誘電体または強磁性体として知られている。
しかし、マルチフェロイックである珍しい物質では、このような電気秩序と磁気秩序が共存している。磁気と電気の秩序は、一方の変化が他方の変化を引き起こすように絡み合うことができる。磁気電気結合として知られるこの特性により、これらの材料は、より速く、より小さく、より効率的なデバイスにとって魅力的な候補となる。このようなデバイスが効果的に機能するために、研究チームがNiI2で行っているように、特に強い磁気電気結合を持つ材料を見つけることが重要である。
研究チームは、フェムト秒範囲(10億分の1秒の100万分の1秒)の超短レーザパルスで材料を励起し、その結果生じる材料の電気的および磁気的秩序の変化と、特定の光学特性への影響を介して磁気電気結合を追跡することで、これを達成した。
同様の材料よりもNiI2で電気磁気結合がこれほど強い理由を理解するに、チームは広範な計算を行った。
「ここでは2つの要因が重要な役割を果たしている」と、共著者、MPSDのEmil Viñas Boströmは話している。「その一つが、電子のスピンとヨウ素原子の軌道運動との強い結合である。これはスピン軌道相互作用として知られる相対論的効果である。2番目の要因は、ヨウ化ニッケルの磁気秩序の特定の形式であり、スピンスパイラルまたはスピンヘリックスとして知られている。この秩序は、強誘電体秩序を開始するためにも、磁気電気結合の強度にとっても重要である」。
研究者によると、大きな磁気電気結合を持つNiI2のような材料には幅広い潜在的なアプリケーションがある。これらに含まれるのは、コンパクトでエネルギー効率が高く、既存のメモリよりもはるかに高速に保存および取得できる磁気コンピュータメモリ、量子コンピューティングプラットフォームにおける相互接続、化学および製薬業界における品質管理と医薬品の安全性を確保できる化学センサ。
研究チームは、これらの画期的な知見を利用して、同様の磁気電気特性を持つ他の材料を同定し、他の材料工学技術がNiI2の磁気電気結合のさらなる強化につながる可能性があると期待している。