August, 14, 2024, 宇都宮--宇都宮大学などの共同研究グループは、極端紫外 [Extreme ultraviolet (EUV)] 光源を高効率化するためのマルチレーザビーム照射法を提案し、EUV光源を高効率化できることを実験的に実証した。この成果は、現在稼働している駆動レーザ装置の増幅器への負荷や今後の固体レーザの媒質損傷を回避できるものであり、将来の駆動レーザ装置の大幅な小型化・低電力化につながるものである。
EUV露光機の消費電力のほとんどはEUV光源によるものである。EUV光源を高出力化するために、駆動用レーザ(プラズマ加熱用レーザ)である炭酸ガス(CO2)レーザの増幅器を増やすことで、消費電力も莫大なエネルギーとなっていることが課題だった。EUV光源の高出力化のため、特に克服すべき要素技術が (a) 駆動用レーザの消費電力を下げることと (b) EUV光源の高効率化である。
同グループは、(a) 駆動用レーザの消費電力を下げる手法として、1ビームあたりのエネルギーを下げて複数ビームを照射することで、(b) EUV光源を高効率化できることを示した。これにより、現在使われているCO2レーザシステム全体を高出力化せずとも、複数ビームを照射することでEUV光源を高効率化することができる。また、固体レーザでも複数ビームを用いることで高効率化できることを明らかにした。このことは、駆動用レーザの消費電力を抑制できることを意味し、EUV光源の高出力化と省エネ化に大きく貢献できるものと言える。
研究成果は、7月16日に学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された(オンライン版で公開)。
研究グループ
宇都宮大学学術院(工学部基盤工学科)の東口武史教授、森田大樹助教、地域創生科学研究科博士前期課程2年の杉浦使、地域創生科学研究科博士前期課程1年の矢澤隼斗、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻の坂上和之准教授、九州大学大学院システム情報科学研究院電気システム工学部門の中村大輔准教授、理化学研究所光量子工学研究センターの高橋栄治チームリーダー、米国パデュー大学極端環境物質センターの砂原淳研究員、アイルランド国立大学ダブリン校のO’SULLIVAN Gerry名誉教授、広島大学大学院先進理工系科学研究科の難波愼一教授
(詳細は、https://www.utsunomiya-u.ac.jp/topics/media/011471.php)