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高性能有機ELデバイスの開発に成功

August, 6, 2024, 東京/九州--東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門の田中正樹助教と九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢教授らの研究グループは、有機ELデバイスを構成する有機薄膜の自発分極や電荷輸送特性を精密に制御することで、高性能な有機ELデバイスの開発に成功した。
研究では、デバイス劣化の一因である過剰な電荷蓄積を抑制するために、有機薄膜の自発分極および電荷輸送バランスを最適化する分子(ホスト分子)を新たに開発し、発光分子が有する性能を最大限に引き出すことで、デバイスの性能向上を実現した。この成果により、今後、有機ELデバイスの精密設計が可能となり、デバイスのさらなる高性能化につながると期待される。

今後の展開
研究では、発光層の自発分極が、発光分子とホスト分子との共蒸着により能動的に制御可能であり、有機EL特性に大きな影響を与えることを明らかにした。また、Cz基などの単純な官能基が誘起する分子配向についても明らかになったため、大きな自発分極を示す極性分子の開発にもつながると期待される。有機ELデバイスの発光層に限らず、電荷注入・輸送層やその他の有機半導体デバイスおいても自発分極などの薄膜物性を積極的に制御することで、性能を劇的に向上できる可能性があると考えられる。

研究成果は、Nature Communications(7月16日付)に掲載された。

(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)