July, 18, 2024, 大阪--大阪大学大学院理学研究科の谷洋介助教らの研究グループは、九州大学大学院理学研究院の宮田潔志准教授らのグループと共同で、有機分子のりん光効率の世界記録を大きく更新し、その鍵である高速りん光のメカニズムを解明した。
りん光は、高エネルギー状態の分子が電子スピン(自転のようなもの)の向きを変えながら発光する現象で、有機ELやガンの診断に有用である。
これまで高効率なりん光を得るには、イリジウムや白金などのレアメタルを使うことが重要と考えられていた。しかし、レアメタルは安定供給に課題があり、また、レアメタルを使わずに有機分子で高効率なりん光を実現するメカニズムについては解明されていなかった。
今回、研究グループは、独自に開発した有機分子「チエニルジケトン」が高効率なりん光を示すことを明らかにした。その分子のりん光が従来の有機りん光材料より1桁以上も高速であることを見出し、さらに、有機分子で高速りん光が得られたメカニズムを解明した。これによりレアメタルに頼らずにりん光を示す有機分子の設計指針が得られ、レアメタル材料を凌駕・代替する有機りん光材料の開発が期待される。
この研究成果は、英国王立化学会の「Chemical Science」に、2024年7月4日(木)18時(日本時間)に公開された。また、当該号のInside Back Coverにて本研究がハイライトされた。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)