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地球の歪んだ表面を利用して岩石の内部を明らかにする新しいイメージング技術

July, 12, 2024, Austin--GPS、レーダー、レーザスキャンなどの地表マッピング技術は、地球表面の特徴を測定するために長い間使用されてきた。現在、テキサス大学オースティン校で開発された新しい計算技術により、科学者たちはこれらの技術を使って地球の内部を覗くことができるようになった。

研究者が「変形イメージング」と呼ぶこの新しい手法は、地震画像に匹敵する結果を提供するだけでなく、惑星の地殻とマントルの剛性に関する直接的な情報も提供する。この特性は、地震やその他の大規模な地質学的プロセスがどのように機能するかを理解するために不可欠であると、テキサス大学ジャクソン地球科学大学院の大学院在学中に研究プロジェクトの手法を開発したSimone Puelは話している。

「剛性などの材料特性は、沈み込み帯や地震科学全般で発生する様々なプロセスを理解する上で重要である。地震、電磁気、重力などの他の技術と組み合わせれば、これまでにない方法で、地震のより包括的な力学的モデルを実際に作成できるはずである」とPuelはコメントしている。

現在、Caltechのポスドク研究員であるPuelは、今年初めに同氏の方法の背後にある理論を発表した。6月にScience Advances誌に掲載された最近の研究は、その効果を示している。2011年の東日本大震災で記録されたGPSデータを用いて、地下約100kmまでの地下を撮影した。

この画像は、環太平洋火山帯の日本側の地下に地殻プレートと火山系があることを明らかにしており、その中には深いマグマ溜まりと考えられる剛性の低い領域も含まれており、このような貯留層が表面情報のみで検出されたのは初めてのことである。

この方法は、地球の地殻が様々な弾性特性を持つ岩石質物質の寄せ集めであるという事実に依存している。ある部分はより柔軟で、他の部分はより剛性がある。これにより、地殻が収縮し、不均一に膨張する。たとえば、地震が発生すると、地球はその構造を反映して振動し、表面がはっきりと変形する。

この不均一な変形を地下の画像に変えるために、研究チームは、地球を単純化された弾性材料であるかのように扱い、その弾性強度を3次元で変化させるコンピュータモデルを構築した。次に、モデルは、地震中にGPSセンサが互いにどれだけ移動したかに基づいて、地下剛性を計算した。その結果、地表の変化に基づく地球内部の3D画像が得られる。

新しい方法の利点は、人工衛星による測定を使用できることである。その中には、12日ごとに地球全体を超高解像度でマッピングするインド宇宙研究機関との共同ミッションであるNASAのNISAR宇宙船が含まれる。

NISARは、この新しい技術を用いることで、世界で最も地質学的に危険な地域のいくつかについて重要な洞察を提供することができると、研究の共著者でジャクソン・スクール教授、Thorsten Beckerは話している。この衛星は、地球の表面を継続的にマッピングすることで、科学者が地震周期の進行に伴う地震断層の構造変化を追跡できるようにする。

論文の共著者、UT Walker Department of Mechanical EngineeringとUT Oden Institute for Computational Engineering and SciencesのOmar Ghattas教授は、この新しい手法は、地球のデジタルツインを構築するための重要なステップになる可能性があると話している。これらの複雑なコンピュータモデルは、新しい観測を行う場所を特定し、新しいデータを吸収することで、常に改善されている。

この研究は、全米科学財団と米国エネルギー省(DOE)から資金提供を受けた。他の共著者には、UTIGの計算地球科学者であるDunyu Liuと、Oden Instituteの研究員であるUmberto Villaがいる。