January, 13, 2015, Cambridge--MITの研究チームは、個々のフォトンの到来を記録できる感度の光ディテクタアレイを実現し、それをシリコン光チップ上に搭載した。そのようなアレイは、量子コンピュテーションにフォトンを使うデバイスに必須のコンポーネントである。
シングルフォトンディテクタは、予測しがたいことで知られており、標準的な製造技術を使用してチップ上に堆積した100のディテクタの内、機能するものは一握りに過ぎない。Nature Communicationsに発表された論文によると、MITの研究チームは、ディテクタを個別に製造、テストし、機能するようになったディテクタを、標準的な製造技術を使って作製した光チップ上に移す手続きについて記述している。
著しく高密度で大きなアレイの製造とともに、このアプローチによりディテクタの感度も向上する。実験では、この新しいディテクタが以前のアレイと比べて到来するシングルフォトンの高精度検出が100倍以上となっていることが明らかになった。
ほとんどの粒子では、エンタングルメントを維持するのは難しいが、フォトンでは相対的に容易である。量子コンピュータなら、エンタングルフォトンを使って量子情報を動かすことができる。しかし、これを実現するには光回路をフォトニック集積回路に微小化することが必要になる。
研究チームのプロセスは、従来の製造技術で造ったシリコン光チップから始める。個別の光チップ上に、薄くて柔軟な窒化シリコン膜を成長させ、その上にフォトンディテクタに使えるパタンで超伝導窒化ニオブを堆積する。できあがったディテクの両端に金の電極を作製する。
次に、シリコンナイトライド膜の片端に、一種のシリコーン、ポリジメチルシロキサンの小滴を付ける。続いてタングステンプローブをシリコーンに押しつける。これは一般に、チップの電圧を計測するために使用する。
研究チームは、タングステンプローブで基板から膜を剥がし、それを光チップに取り付ける。
従来のアレイでは、ディテクタは到来したシングルフォトンのわずか0.2%しか検出できなかった。個別に堆積されたオンチップディテクタでも最高2%程度だった。しかし新しいチップは最高20%を達成した。実用的な量子回路に必要な90%以上には遠く及ばないが、正しい方向に大きく踏み出したと言える。