June, 19, 2024, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、IOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下APN)による通信の特徴である大容量・低遅延を活かし、複数のデータセンタ(DC)に分散配置された計算処理環境においても、秘密計算によるAI分析を実用的な時間で達成できることを実証した。
この成果により、遠隔地にあるDCに配置された秘密計算サーバをIOWN APNで接続し、安全にデータ活用できるプラットフォームの実現が期待できる。
主な取り組みの内容
今回、より広域や複数組織間でのセキュアなデータ利活用をめざし、NTT西日本の構築したIOWN APNによる分散DCに、分散配置されたサーバによる秘密計算システムを構築した。また、計算処理を行う際のネットワークの影響について評価するため、IOWN APNで接続している場合の構成、一般的なネットワーク接続を模擬した構成および単一のDC内の構成にて、計算処理性能をそれぞれ測定して比較した。
今回の測定の結果、10万件のダミーデータセットを学習対象としたAIモデルの学習処理(GBDTおよびFFNN)において有意な差があることがわかった。特にFFNNにおいては、一般的なネットワーク接続が約157分であるのに対して、IOWN APNの場合には約22分と、およそ1/7倍の時間で学習が完了することを確認できた。また、同一DC内で実施した場合のネットワーク接続は約15分の時間を要するが、地理分散した場合でも、同一DC内と比較しておよそ1.5倍程度の時間となり、実用的な時間で処理可能であることが確認できた。
この結果から、今までは通信速度及び遅延の関係から同一のDC内に限定していた秘密計算システムを、一定距離にあるDC間を接続して構成可能であり、異なるDCや企業間におけるシステムを用いたセキュアなデータ利活用システムへの応用が期待できる。
(詳細は、https://group.ntt/jp)