Science/Research 詳細

多方向多色波長制御可能フレキシブル/伸縮デバイス

June, 19, 2024, Pohang--浦項科学技術大学(POSTECH)のチームは、電気工学科のSu Seok Choi教授と博士課程のSeungmin Nam教授が率いる、あらゆる方向の光の波長を制御できる新しい伸縮性フォトニックデバイスを開発した。この先駆的な研究は、『Light: Science & Applications』に掲載された。

構造色は、光と微細なナノ構造の相互作用によって生成され、従来の混合方法に頼ることなく鮮やかな色合いを作り出す。従来のディスプレイやイメージセンサは、赤・緑・青の三原色を融合させていたが、構造色技術では光の本来の波長を利用することで、より鮮やかで多様なカラーディスプレイを実現している。この革新的なアプローチは、ナノ光学およびフォトニクス業界で有望な技術として認識されている。

染料や発光材料を使用する従来の混色技術は、受動的で固定的な色表現に限定されている。一方、チューナブルカラー技術は、特定の光の波長に対応するナノ構造を動的に制御し、純粋な色を自由に調整することができる。これまでの研究は、主に一方向の色調整に限定されており、通常は赤から青に色をシフトしていた。この変化を逆転させることは、青から波長の長い赤へと変化させることが大きな課題だった。現在の技術では、短波長への調整しかできず、理想的な自由波長方向で多様な色表現を実現することは困難である。そのため、波長制御技術を最大限活用するためには、双方向・全方向の波長調整が可能な新しい光学デバイスが必要となる。

Choi教授のチームは、液晶誘電体エラストマアクチュエータ(DEAs)を備えたエラストマ(CLCEs)とキラルを統合することでこれらの課題に対処した。CLCEsは構造的な色変化が可能な柔軟な材料であり、DEAsは電気刺激に応じて誘電体の柔軟な変形を誘導まする。研究チームは、CLCEsと組み合わせることで、伸縮両立が可能なアクチュエータ構造を最適化し、適応性の高い伸縮性を持たせたデバイスを開発した。このデバイスは、短波長から長波長へ、またはその逆の可視スペクトル全体の波長位置を自由に調整できる。

実験では、CLCEベースのフォトニックデバイスが、電気刺激を使用して幅広い可視波長(450nmの青から650nmの赤まで)で構造色を制御できることを実証した。これは、単方向の波長調整に限定されていた以前の技術に比べて大きな進歩である。

この研究は、先端光デバイスの基盤技術を確立するだけでなく、様々な産業応用の可能性を浮き彫りにするものである。

Choi教授は「この技術は、ディスプレイ、光学センサ、光学迷彩、直接光アナログ暗号化、生体模倣センサ、スマートウェアラブルデバイスなど、光、色、さらには可視域を超えた広帯域電磁波を含む多くのアプリケーションに適用できる。今後も研究を進め、その応用範囲を広げていきたいと考えている」とコメントしている。