January, 9, 2015, Bristol--従来にないスピードで光ビームを成形し操作できる新しい音響光学デバイスが開発された。この新技術により、リアルタイムで迅速に動作するホログラフのような光デバイスが可能になる。
ブリストル大学超音波教授、Bruce Drinkwater氏、ダンディ大学(University of Dundee)のDr Mike MacDonald氏は、研究成果をOptics Expressに発表した。
64の微小圧電素子で構成されるアレイは高周波ラウドスピーカーとして機能する。生成される複雑な音響場が、そのデバイスを通過する光を偏向させ、形状を変える。音響場が変わると、光ビームの形状も変わる。
機械工学部Drinkwater教授は、「この再構成機能は極めて高速であり、音波のスピードの制限を受けるだけである。この方法の主要な利点は、リフレッシュレートが非常に速いこと、数100万/秒が可能である。つまり、将来的には現状よりも遙かに高速にレーザビームベースのデバイスが再構成可能になる。以前は、最高速のリフレッシュレートが1秒に数千だった」と説明している。
この進歩により、収差を自動補正できる再構成可能レンズが実現可能になる。これは顕微鏡の改善、新世代の光ピンセットに使え、極めて高速に形状を変えられるので、より優れた形状のトラップが実現できる。
Dundee大学バイオフォトニクス研究グループ長、Dr Mike MacDonaldは、「ここに示したものは光ホログラフィの1形式と考えられ、ここでは音を使ってホログラムがリアルタイムで実現できる。これを実現するための従来技術は、われわれが音響場のコントロールで実現したような高度なレベルではない。この技術により、われわれは光の制御が遙かに柔軟にできるようになる」とコメントしている。
「このデバイスは、空間光変調器など、既存のホログラフィックデバイスと比べて遙かに素早い操作が可能であり、また一段と高出力のレーザが使える。これは、例えばレーザ材料加工でビームシェイピングなどの用途が考えられる。あるいは、信号帯域を増やすために軌道角運動量を利用し自由空間光通信向けに光ビームの高速、ハイパワー制御さえも可能である」。
Drinkwater教授によると、この新技術のアプリケーションは広範である。光デバイスは至る所にあり、ディスプレイ、通信、科学機器に使用されている。
レーザビームの形状変化や操作機能は多くの光学アプリケーションで必須である。例えば顕微鏡における光学的操作や収差補正。個々のアプリケーションの特殊要件にしたがい、こうした機能は現在、光ビームの位相を一定レベルで制御する別の方法を使用して達成されている。天文学ではデフォーマブルミラーが収差補正に使用されており、ホログラフィ、光ピンセット、顕微鏡など幅広い領域で空間光変調器(SLM)が一般に採用されている。