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シリコンチップ上に世界最小の量子光検出器を開発

June, 11, 2024, Bristol--ブリストル大学(University of Bristol)の研究者は、世界最小の量子光検出器(ディテクタ)をシリコンチップに集積することで、量子技術のスケーリングにおいて重要なブレークスルーを達成した。

情報化時代を解き放つ重要な瞬間は、1960年代に科学者やエンジニアが安価なマイクロチップにトランジスタを小型化できるようになった時だった。

今回、ブリストル大学の研究者らは、人間の髪の毛よりも小さい量子光検出器をシリコンチップに集積させることを初めて実証し、光を使った量子技術の時代に一歩近づいた。

高性能なエレクトロニクスとフォトニクスを大規模に製造することは、次世代の高度な情報技術を実現するための基本である。既存の商用ファシリティで量子技術をどう作るかは、世界中の大学の研究や企業が取り組んでいる進行中の国際的取組である。

量子コンピューティングでは、高性能な量子ハードウェアの大規模製造が不可欠になる可能性がある。1台のマシンの構築でも膨大な量のコンポーネントが必要になると予想されるからである。

この目標を追求するために、ブリストル大学の研究者は、80µm×220µmを占める回路を持つチップ上に実装される量子光検出器の一種を実証した。

重要な点として、小型であるということは、量子光検出器が高速であることを意味し、高速量子通信を可能にし、光量子コンピュータの高速動作を可能にするための鍵となる。

確立され、商業的に利用可能な製造技術を使用することで、センシングや通信などの他の技術に早期に組み込むという展望に役立つ。

「この種のディテクタはホモダイン検出器と呼ばれ、量子光学分野のあらゆるアプリケーショで使用されている。これらのディテクタは室温で動作し、量子通信や、最先端の重力波検出器などの非常に感度の高いセンサに使用できる。また、これらのディテクタを使用する量子コンピュータの設計もある」と、研究リーダー、量子工学技術研究所所長、Jonathan Mattews教授は説明している。

2021年、ブリストルのチームは、フォトニクスチップを別のエレクトロニクスチップとリンクさせることで、量子光ディテクタの速度向上が可能であることを示した – 今回、チームは単一の電子フォトニック集積チップで、フットプリントを50倍に削減しながら、さらに速度を10倍に向上させた。

これらのディテクタは高速で小型であるが、高感度でもある。

「量子光を測定する鍵は、量子ノイズに対する感度である」と著者のジDr Giacomo Ferrantiは説明している。「量子力学は、すべての光学系において、微小で基本的なレベルのノイズの原因となっている。このノイズの振る舞いは、システム内をどのような量子光が伝わっているかに関する情報を明らかにし、光センサの感度を決定し、量子状態を数学的に再構築するために使用できる。われわれの研究では、ディテクタを小型化して高速化しても、量子状態を測定するための感度が妨げられないことを示すことが重要だった。」

著者の指摘によると、他の破壊的量子技術ハードウェアをチップスケールまで統合するために、さらにエキサイティングな研究を行う必要がある。新しいディテクタでは、効率を向上させる必要があり、多くの異なるアプリケーションでディテクタを試すために行うべき作業がある。

Matthews教授は、「われわれは、そのアプリケーションをより利用しやすくするために、商業的にアクセス可能なファウンドリでディテクタを構築した。われわれは、様々な量子技術がもたらす影響に非常に興奮しているが、コミュニティとして、量子技術のスケーラブルな製造という課題に取り組み続けることが重要だ。量子ハードウェアの真にスケーラブルな製造を実証しなければ、量子技術の影響と利点は遅れ、制限されることになるろ」とコメントしている。