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X線顕微鏡の進化! 新形状可変ミラーで原子レベルの収差補正を実現

May, 27, 2024, 名古屋--名古屋大学大学院工学研究科の松山智至教授(兼:大阪大学大学院工学研究科招へい准教授)、井上陽登助教、理化学研究所放射光科学研究センターの矢橋牧名グループディレクター、香村芳樹チームリーダー、ジェイテックコーポレーションの中森紘基研究員らの研究グループは、原子レベルの精度と安定性を持つ新しいX線用の形状可変ミラーを開発した。

開発した形状可変ミラーは、圧電単結晶(ニオブ酸リチウム)のみから成る非常にシンプルな構造を特徴としている。このシンプルな構造のおかげで、印加した電圧に応じて原子レベルの精度で自由に変形することができる。さらに、この精度を7時間にわたって維持することもでき、非常に高い安定性を有していた。これを組み込んだアダプティブX線顕微鏡を試作したところ、従来の常識を超える精度で収差を補正することができ、より高精細なX線顕微鏡像を得ることに成功した。X線顕微鏡は透過性の高いX線を用いることで、試料を壊さず高い分解能で観察できるため、工学や生物学など様々な分野で活用されている。
この成果によって、X線顕微鏡やX線分析などのX線装置の高分解能化が可能になると共に、X線応用の更なる発展が期待される。

研究成果は、2024年5月1日付アメリカ科学誌「Optica」に掲載された。
(詳細は、https://www.nagoya-u.ac.jp