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捕まえにくい3Dプリントナノ粒子、新しい形状変化材料につながる可能性

May, 15, 2024, Stanford--スタンフォード大学の材料エンジニアは、一瞬で形を変える有望な新材料を生み出すと長い間予測されていた、製造が困難な数万個のナノ粒子を3Dプリントした。

ナノマテリアルでは、形は運命である。つまり、材料内の粒子の形状によって、結果として得られる材料の物理的特性が定義される。

スタンフォード大学の機械工学助教授、ウェンディ・グー(Wendy Gu)は、「ナノボールベアリングで作られた結晶は、ナノサイコロで作られた結晶とは異なる配列で、これらの配置によって非常に異なる物理的特性が生じる」と言い、学術誌Nature Communicationsに掲載された最新の論文を紹介した。.「われわれは、3Dナノプリンティング技術を利用して、最も有望な形状の1つであるアルキメデス型四面体を切り出した。先端が切り落とされたミクロンスケールの四面体である」。

同論文で、Guと共著者は、これらの困難なナノ粒子を何万個もナノプリントし、溶液に攪拌し、さらに、それらが自己組織化して様々な有望結晶構造になるのを観察する方法を説明している。さらに重要なことに、これらの材料は、粒子を新しい幾何学的パタンに再配置するだけで、数分で状態間を移動できる。

材料エンジニアが「変幻自在な品質」と呼ぶこの「相(phases)」の能力は、鉄を焼入れ鋼に変える原子転位や、コンピュータがテラバイト単位の貴重なデータをデジタル形式で保存できる材料に似ている。

「アルキメデスの切り取られた四面体でできた物質の位相シフトを制御する方法が分かれば、多くの有望な工学的方向性につながる可能性がある」と同氏はコメントしている。
うまく逃げる獲物
アルキメデスの四面体(ATTs)は、容易に相を変化させることができる材料を製造するための最も望ましい形状の一つであると長い間理論化されてきたが、最近まで製造が難しかった。

Guの指摘によると、ナノスケールATTsを大量に生産したのは同氏のチームが初めてではないが、3Dナノプリンティングを使用してそれを行った最初のチームの一つである。

「3Dナノプリンティングでは、ほとんどすべての形状を作ることができる。粒子の形状は、極めて慎重に制御可能である。この特定の形状は、シミュレーションによって非常に興味深い構造を形成すると予測されている。それらを多様な方法で組み合わせることができれば、貴重な物理的特性が得られる」(Gu)。

ATTsは、少なくとも2つの非常に望ましい幾何学的構造を形成する。1つ目は六角形のパターンで、四面体は基板上に平らに載り、先端が切り取られた先端がナノスケールの山脈のように上を向いている。2つ目は、Guによると、おそらくさらに有望である。これは結晶性の準ダイヤモンド構造で、四面体が卵パックにある卵のように、上向きと下向きに交互に向きを変えている。ダイヤモンドの配列は、フォトニクスコミュニティにおける「Holy Grail」と見なされており、多くの新しく興味深い科学的方向性につながる可能性がある。

とは言え、最も重要なことは、適切に設計されれば、3Dプリントされた粒子で作られた未来の材料を迅速に再配置し、磁場、電流、熱、またはその他の工学的方法を適用することで、相を簡単に切り替えることができることである。

Guによると、エネルギー効率を最大化するために一日中変化するソーラーパネルのコーティング、曇りや氷結のない飛行機の翼や窓の新時代の疎水性フィルム、新しいタイプのコンピュータメモリを想像できる。リストはどんどん増えていく。

「現在、われわれはこれらの粒子を磁性化して、その振る舞いを制御することに取り組んでいる。可能性は模索され始めたばかりである」と、ATTsナノ粒子を新しい方法で使用して、すでに進行中の最新の研究についてGuは話している。