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MIT、未知の材料でプリントする方法を解明できる3Dプリンタ

May, 10, 2024, Cambridge--MITは、未知の材料でプリントする方法を理解できる3Dプリンタを発表した。
この進歩は、3Dプリンティングをより持続可能なものにし、特性評価が困難な再生可能またはリサイクル可能な材料を使用したプリントを可能にする可能性がある。

3Dプリンティングの人気は爆発的に高まっているが、これらのプリンタがオブジェクトの作成に使用するプラスチック材料の多くは簡単にリサイクルできない。3Dプリンティングに使用する新しい持続可能な材料が登場しているが、3Dプリンタの設定を材料ごとに調整する必要があり、通常は手作業で行われるプロセスであるため、採用は依然として難しい。

新しい材料をゼロからプリントするには、通常、ソフトウェアで最大100個のパラメータを設定して、プリンタがオブジェクトを製造するときに材料を押し出す方法を制御する必要がある。大量生産されたポリマなど、一般的に使用される材料は、退屈な試行錯誤のプロセスを経て完成された一連のパラメータを確立している。

しかし、再生可能材料やリサイクル可能な材料の特性は、その組成によって大きく変動する可能性があるため、固定されたパラメータセットを作成することはほぼ不可能。この場合、ユーザはこれらすべてのパラメータを手作業で考え出す必要がある。

研究チームは、未知の材料のパラメータを自分で自動的に識別できる3Dプリンタを開発することで、この問題に取り組んだ。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のビット・アンド・アトムス・センタ(CBA)、米国国立標準技術研究所(NIST)、ギリシャ国立科学研究センタ(Demokritos)の共同チームは、3Dプリンタの「心臓部」である押出機を改造し、材料の力と流れを測定できるようにした。

20分間のテストで収集されたこれらのデータは、プリンティングパラメータを自動生成するために使用される数学関数に入力される。これらのパラメータは、市販の3Dプリンティングソフトウェアに入力し、これまでに見たことのない材料でプリントするために使用できる。

自動生成されたパラメータは、通常は手動で調整する必要があるパラメータの約半分を置き換えることができる。研究チームは、いくつかの再生可能な材料を含む独自の材料を使用した一連のテストプリントで、その方法が一貫して実行可能なパラメータを生成できることを示した。

この研究は、通常、化石燃料由来のリサイクル不可能なポリマやレジンに依存する積層造形の環境への影響を軽減するのに役立つ可能性がある。

「この論文では、バイオベースで様々な持続可能な供給源から作られた興味深い材料をすべて取り出す方法を示し、プリンタがそれらの材料をプリントする方法を自分で見つけ出すことができることを示している。目標は、3Dプリンティングをより持続可能なものにすることだ」と、CBAを率いる主任著者、Neil Gershenfeldはコメントしている。

材料特性のシフト
ラピッドプロトタイピングでよく使用される溶融フィラメント製造(FFF)では、溶融ポリマを加熱ノズルから層ごとに押し出し、部品を構築する。スライサと呼ばれるソフトウェアはマシンに指示を提供するが、スライサは特定の材料で動作するように構成する必要がある。

FFF 3Dプリンタで再生可能またはリサイクルされた材料を使用することは、材料特性に影響を与える変数が非常に多いため、特に困難である。

例えば、バイオベースのポリマやレジンは、季節によって異なる植物の混合物で構成されている場合がある。リサイクルされた材料の特性は、リサイクル可能なものによっても大きく異なる。

「‘Back to the Future,’には『Mr. Fusion』のブレンダがあって、Docが持っているものをブレンダに放り込むだけで、(DeLoreanタイムマシンの動力源として)機能する。それはここでも同じ考え方だ。理想的には、プラスチックのリサイクルでは、手持ちのものを細断してプリントすることができる。しかし、現在のフィードフォワードシステムでは、プリント中にフィラメントが大きく変化すると、すべてが壊れてしまうため、うまく行かない」(Read)。

これらの課題を克服するために、研究チームは、未知の材料の実行可能なプロセスパラメータを自動的に特定する3Dプリンタとワークフローを開発した。

チームは、ラボが以前に開発した3Dプリンタから始め、データをキャプチャし、動作中にフィードバックを提供することができた。チームは、機械の押出機に3つの機器を追加し、パラメータの計算に使用する測定を行った。

ロードセル(荷重センサ)はプリンティングフィラメントにかかる圧力を測定し、フィードレートセンサはフィラメントの太さとプリンタから供給される実際の速度を測定する。

「この測定、モデリング、製造の融合は、NISTとCBAのコラボレーションの中核をなすものであり、われわれが『計算計測学』と呼ぶものの開発に取り組んでいる」(Warren)。

これらの測定値を使用して、最も重要でありながら決定が困難な2つのプリンティングパラメータである流量と温度を計算できる。標準ソフトウェアのプリント設定のほぼ半分は、これら2つのパラメータに関連している。

データセットの派生
新しい機器を設置すると、研究チームは、様々な流量で一連の温度と圧力の測定値を生成する20分間のテストを開発した。基本的に、このテストでは、プリントノズルを最も高温に設定し、材料を一定の速度で流してから、ヒーターをオフにする。

これらのデータは、相対的な温度と圧力の入力に基づいて、材料と機械構成の実際のパラメータを自動的に生成する機能に入力される。ユーザは、これらのパラメータを3Dプリントソフトウェアに入力し、プリンタの指示を生成できる。

6種類の材料(そのうちのいくつかはバイオベース)を用いた実験では、この手法によって実行可能なパラメータが自動的に生成され、複雑なオブジェクトのプリントが一貫して成功した。

今後、研究チームはこのプロセスを3Dプリンティングソフトウェアと統合し、パラメータを手動で入力する必要がなくなるようにすることを計画している。さらに、フィラメントを溶かすプリンタの部分であるホットエンドの熱力学モデルを組み込むことで、ワークフローを強化したいと考えている。

このコラボレーションにより、測定の出力が単なるパラメータではなく予測モデルとなる計算計測学が、より広範に開発されている。チームは、これを高度な製造の他の分野に適用し、計測学へのアクセスを拡大する予定である。

「この研究は、溶融フィラメント製造のプロセスパラメータを自動生成する新しい方法を開発することで、変動する未知の挙動を持つリサイクルおよびバイオベースのフィラメントの使用への扉を開く。重要なことは、デジタル製造技術が地元で調達された持続可能な材料を利用する可能性を高めることである」と、チリのサンティアゴ大学行政経済学部の准教授、Alysia Garmulewiczはコメントしている。