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レーザベースオプティクス製造の夜明け

April, 17, 2024, Aachen--光学産業は、プロセスチェーンの機械的プロセスにほぼ完全に依存している。しかし、この状況はすぐに変わる可能性がある。アーヘンのFraunhoferILTレーザ技術研究所は、非球面および自由曲面光学系の成形、研磨、最終形状の修正にかかる時間とコストの両方を節約するデジタル制御レーザプロセスを推し進めている。
FraunhoferILTは、2024年5月14日~16日までフランクフルトで開催されるOPTATEC見本市と、2024年10月15日~16日まで開催される第1回アーヘン会議「レーザベースオプティクス生産」で、未来のレーザベースのプロセスチェーンを発表する。

非球面および自由曲面オプティクスへの継続的なトレンドは、光学産業における純粋な機械的処理をベースにした従来のプロセスチェーンを限界まで押し上げている。この障害を克服するために、FraunhoferILTは、フランクフルトで開催されるOPTATEC 2024見本市で、光学部品製造用の柔軟性の高いレーザベースのプロセスチェーンのビジョンを発表する。

今日でも、個別に設計された非球面と自由曲面オプティクスは、レーザプロセスを使用して製造できる。「レーザの主な利点は、質量のない非接触の材料加工と連動したデジタル制御である」と、FraunhoferILTの研磨グループ責任者、Dr. Edgar Willenborgは説明している。プロセスは、数値制御で成形工具が不要なため、レンズ形状に加工時間が左右されることがなくなる。これにより、特に複雑な形状の場合、明らかなコストメリットが得られる。「消耗品を使用しないため、レーザ加工では必要な洗浄量も最小限に抑えられる」(Willenborg)。この柔軟性は、当初は個別のレーザベースのプロセスとして、長期的には、成形や研磨からナノメートル精度の形状補正まで、完全にレーザベースの光学部品製造として、産業用途に転用する必要がある。

レーザによる成形、研磨、形状修正
この未来のレーザベースのプロセスチェーンは、超短パルス(USP)レーザまたは選択的レーザー誘起エッチング(SLE)によるアブレーションによる成形をベースにしている。FraunhoferILTのアジェンダには、ガラスのレーザ研磨や、必要に応じてポリマベースのレンズのレーザ研磨、およびハイエンド分野での精密な形状補正も含まれる。後者は、FraunhoferILTの光学形状補正研究分野の研究員、Emrah Uluzをリーダーとするチームによって、CO2およびUSPレーザを使用してすでに実証されている。

CO2レーザはレーザ研磨にも使用される。エネルギーの4/5はガラスの最上層に吸収される。浸透深さは3µm〜最大30μm。これは、ガラスが溶けて蜂蜜のような状態に変化し、表面張力のために冷えると自動的に滑らかになる場所である。界面張力による表面平滑化を含むこの表面層の再溶解は、優れた表面品質をもたらす。サブナノメートル範囲の粗さは、新しい基準を設定し、最高の光学性能を必要とするアプリケーションのレーザプロセスに先立たれている。

レーザベースのプロセスは、光を散乱させ、レンズが曇って見える原因となる微細な粗さを排除できるので、すでに業界の機械的に支配的なプロセスチェーンを補完している。「われわれは、このようなハイブリッドアプローチを使用して、光学生産におけるオールラウンドなレーザベースのプロセスチェーンを構築することに体系的に取り組んでいる」とUluzは説明している。スペクトルは、マイクロおよびマクロ光学系、または個別に成形された特殊光学系から、SLEを使用して内部で構造化できるガラスボディまで多岐にわたる。機械的なプロセスとレーザベースのプロセスは今でも互いに補完し合っているが、FraunhoferILTの明確な目標は、レーザ技術の利点を光学製造のあらゆる分野に役立てることである。

レーザによる個別量産
FraunhoferILTは、OPTATEC 2024(ホール3.1 / スタンド610)で、開発の現状に関する洞察を提供し、完全にレーザベースのプロセスチェーンのビジョンを提示する。「レーザベースプロセスは、特に複雑な形状の場合、エネルギーと資源の両方を節約できるため、大きな利点がある」とWillenborgは言う。レーザ加工は、非球面および自由曲面光学系の幅広い使用への道を開く。これだけでも、光学系の設計とコストを削減できる。光学系の形状を特定の要件に適合させることができれば、非常に複雑な光学系を、より少ない部品数で製造することが可能になる。