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Science/Research 詳細

GaNベースフォトニクスデバイスでイェーナ大学/ブラウンシュヴァイク大学提携

March, 27, 2024, Jena--イェーナ大学(University of Jena)とブラウンシュヴァイク工科大学(TU Braunschweig)は窒化ガリウム(GaN)ベースのフォトニックデバイスで共同研究を行っている。

コンピュータチップは年々小型化・高速化が進んでいるが、エレクトロニクスとフォトニクスを1つのチップに集積するという未解決の課題がある。micro-LEDsはシングルチップとして存在し、導波路は小さな光ファイバケーブルとして存在するが、それらを作るために必要な材料は、1つの調和のとれたチップに組み合わせるには異種が多すぎる。とは言え、新しいエッチング技術は、光電子光源とフォトニック光ファイバを組み合わせる上で決定的なブレークスルーとなる可能性がある。フリードリッヒ・シラー大学イェーナ校(Friedrich Schiller University Jena)とブラウンシュヴァイク工科大学(Technische Universität Braunschweig)の研究グループは、多孔質窒化ガリウムに焦点を当てた共同プロジェクトを開始した。OptoGaNプロジェクト(正式名称は「窒化物技術における高集積マイクロフォトニックモジュール」)は、連邦教育研究省(BMBF)から約60万ユーロの資金提供を受け、3年間の任期で実施された。

ドイツの急成長するフォトニクス産業は、今後数年間、イェーナとブラウンシュヴァイクの発展に特に細心の注意を払うことになる。このプロジェクトに参加している研究グループは、自分たちのアイデアが多くの潜在的アプリケーションにつながると確信している。プロジェクトパートナーは、それぞれ1つのスタートアップをデモンストレータとして、3つのアプリケーションを確立したいと考えている。その研究は、導波路、ニューロモルフィックコンピューティング、量子バレーニーダーザクセン(Quantum Valley Lower Saxony)ネットワークが運用するイオントラップ型量子コンピュータなどの技術に役立つ可能性がある。

とは言え、この技術は具体的にどのように応用できるか。例えば、量子コンピュータのイオンを操作するプロセスを考えてみる。これらのコンピュータに量子ビットをどんどん組み込んでいくには、レーザシステムを大幅に小型化し、理想的にはチップ以下にする必要がある。しかし、チップ上の導波路の標準材料である二酸化ケイ素(SiO2)は、臨界波長の光を吸収する。GaNは、多孔質材料が提供する解は、低屈折率、最小限の損失で個々のイオンへの光の導波を容易にするというものである。

窒化ガリウムの取り扱いに関する補完的専門知識
多孔質半導体は、導電性のある領域を細孔と呼ばれる空気で満たされたチャネルに変える新しい選択的エッチング技術の結果である。対応する電気的コントラストは、マスクによるイオン注入によって実現される。この技術は、複雑な光伝導を持つ3次元導波路への扉を開くことさえできる。窒化ガリウムと新プロセスは、これまでのLEDやレーザダイオードの製造方法と互換性があり、電子回路と光回路の集積化が可能となる。

イェーナとブラウンシュヴァイクの研究チームは、相互補完的な専門知識と専門機器を組み合わせて、これらの革新的な光誘導用半導体チャネルを実現している。これは、エッチング技術には電子成分と化学成分の両方が含まれているためである。まず、ブラウンシュヴァイクの研究チームは、基材を層ごとに製造する。その後、半導体チップはイオン注入のためにイェーナに出荷される。イエナの研究チームは、このチップをドーピングし、その電子特性に的を絞った変更を加えた。最後に、チップはブラウンシュヴァイクに戻り、そこで化学エッチングプロセスによって最終的な多孔質構造が作成される。

(詳細は、https://www.uni-jena.de/en/240313-optogan