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ナノ合金で近赤外領域の光電変換効率を向上

March, 4, 2024, 京都--京都大学、北川宏 理学研究科教授、草田康平 白眉センター/高等研究院特定准教授(兼:理学研究科連携准教授)、岡本慎也 パナソニックホールディングス株式会社主任研究員らの共同研究グループは、合金を使った新しい構造のプラズモニックショットキーデバイスを開発し、光通信・アイセーフ波長に対応する近赤外領域の光電変換効率を向上することに成功した。
プラズモニックショットキーデバイスは、金属と半導体との界面に形成されるエネルギー障壁(ショットキー障壁)を利用した光電変換デバイスであり、Siをはじめとする半導体の利用波長領域を拡張できる技術として近年注目されている。
研究では合金を用いてショットキー障壁高さを制御することで光電変換効率の向上を実現した。また、アークプラズマ蒸着によりSi基板上へプラズモニックナノ構造をわずか一分で作製する手法を開発し、同手法により形成された理想的な合金と半導体の接合界面が高効率な電子移動を可能にすることが明らかになった。この技術は光検出器にとどまらず、太陽電池や光触媒などへの応用が期待される。

研究成果は、2024年2月7日に、国際学術誌「ACS Applied Materials & Interfaces」にオンライン掲載された。

研究者のコメント
「これまでのSiベースプラズモニックショットキーデバイスに関する研究では金属ナノ構造の設計によるプラズモン吸収の制御が主な研究対象とされてきたが、本研究ではショットキー障壁に注目し、合金を用いたショットキー障壁制御、および光電変換効率の向上を実証することができた。この新たなアプローチを様々な応用へ展開し、それらの性能向上を実現するとともに、新しいアプリケーションを創出することを目指して研究を行う。」

(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp