February, 27, 2024, 沖縄--沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、NTTコミュニケーションズの協力で、水中ドローンで採取したeDNA(環境DNA)を用いて、サンゴ礁の深場(准深海)に生息する造礁サンゴの属を初めて特定した。
この画期的な研究は、学術誌『Royal Society Open Science』に掲載された。水中ロボットを使うことで、スキューバダイビングやシュノーケリングによる直接観察に頼らず、大規模なサンゴの環境DNAモニタリングを実施できる。
メソフォテック(中有光)サンゴ生態系は、熱帯・亜熱帯の水深30~150メートルの光が弱い環境にある。浅瀬のサンゴ生態系に比べ、より多くの固有種が生息しているのが特徴。しかし、その生態系はこれまでほとんど解明されてきておらず、中有光サンゴの基礎的な生態を理解するためにはさらなる研究が必要とされている。
研究チームは通常、シュノーケリングやスキューバダイビングによって、サンゴ礁を形成するサンゴ(無脊椎動物)を観察し研究しているが、これらの方法には限界がある。生物が体内から環境に排出する遺伝物質(環境DNA)を利用すれば、特定の生息地に生息するサンゴやその他の生物の種類を特定することができ、生物多様性評価の強力なツールとなる。
サンゴの環境DNA研究には、サンゴ独自の利点もある。第一に、サンゴは魚と違って移動しないため、生息場所の不確実性を排除できる。第二に、サンゴは常に粘液を海中に分泌しているため、サンゴの環境DNAは豊富に採取できる。
この研究では、核DNAよりも豊富で質の高いミトコンドリアDNAを分析し、調査結果の精度を高めた。
(詳細は、https://www.oist.jp)