February, 22, 2024, 大阪--大阪公立大学大学院 工学研究科の木村 健太准教授と東京大学 大学院工学系研究科の木村 剛教授の研究グループは、2価のニッケル(Ni2+)イオンが磁性を担うLiNiPO4では、光通信で用いる波長の光の吸収のしやすさが、光の進行方向を反転することで2倍以上変化することを発見した。また、外部から磁力を加えることで、光が透過しやすい方向の切り替えが可能である。
「光ダイオード効果は常識とはかけ離れた現象で、思いもよらぬ応用が実現する可能性があるため、研究対象として魅力的だが、現状では動作温度が低いなど課題が山積している。
この研究でニッケル元素を含む化合物の有用性が示されたことで、物質選択の幅が格段に広がった。この知見を基に、より高性能な光ダイオード効果を示す物質の開発を進める」と木村健太准教授はコメントしている。
光通信では、レーザの損傷やノイズを防ぐため、光を一方向にのみ透過させる光アイソレータが使用されている。一部の磁性体(磁石)が持つ光ダイオード効果は、光の進む向きにより透過率が変化する現象で、物質単体で発現する。そのため、複雑な構造を持つ従来の光アイソレータに代わる、よりコンパクトで光強度ロスの少ない画期的な光アイソレータへの応用が期待されている。しかし実用化へは、効果の小ささや外部から磁力を加える必要があることが課題となっている。
研究成果は、米国物理学会が刊行する国際学術誌「Physical Review Letters」に、2024年1月17日にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.omu.ac.jp)