Science/Research 詳細

ホログラフィによるフルカラー動画投影を実現

February, 14, 2024, 東京--東京農工大学大学院の山口眞和と齋藤洋輝氏、早稲田大学理工学術院の池沢聡研究院講師、東京農工大学大学院の岩見健太郎准教授は、メタサーフェスを利用して広視域角・高解像度・高効率のフルカラーホログラフィ動画を実現した。この成果は、立体映像技術の発展および次世代ディスプレイの開発に貢献することが期待される。

研究成果
今回、30フレームからなるフルカラー動画の投影を目指し、窒化シリコンのナノ柱をメタアトムとして、ガラス基板上に数億本配置し、90フレーム(30フレーム×3色)からなるホログラム列を1枚の基板上に形成した。各フレームは2322× 2322画素と先行研究や一般的なディスプレイ(フルHD)よりも高解像度であり、340 nmの画素間隔によりホログラム前面からの観察領域全体をカバーする180°の視域角を有している。また、ナノ柱の製作を最適な加工条件の下で行うことで、光の利用効率を向上させている。投影したのは地球が回転する動画(2D)で、3色の投影像を重ね合わせることで投影動画のカラー化を実現した。また、自動ステージを用いて基板を機械的に動かすことで、人間の目で十分に滑らかに見える再生速度である55.9 fps(frame per second)での投影に成功した。

今後の展開
今回のホログラフィは1色の投影像につき1つのホログラムを用いて投影を行うため、フルカラー動画のフレーム数の3倍のホログラムを製作する必要があった。
研究ではさらなる省スペース化や多機能化を目指して、今後は1つのホログラムでのフルカラー投影に挑戦する。さらに、空間光変調器のような変調機能を持つデバイスと組み合わせることができれば、高精細なフルカラー3次元像をフレーム数の制限を受けずに投影することが可能となり、ホログラフィを用いた立体映像技術の実用化に貢献できると期待している。

(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)