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メタレンズと星の出会い、太陽、月、星雲の大型全面ガラスメタレンズ画像

February, 5, 2024, Cambridge--ハーバード大学ジョン・A・ポールソン工学応用科学大学院(SEAS)の研究チームは、太陽、月、遠方の星雲を高解像度で画像化できる10㎝径のガラスメタレンズを開発した。これは、従来のCMOS製造技術で大量生産できる初の可視波長の大型メタレンズである。
研究成果は、ACS Nanoに掲載された。

SEASのロバート・L・ウォレス応用物理学教授/ヴィントン・ヘイズ電気工学上級研究員、論文の主任著者Federico Capassoは、「最先端の半導体ファウンドリプロセスを使用して、前例のない大きな平面レンズ上で数百億本のナノピラーのサイズを正確に制御する能力は、宇宙科学技術にエキサイティングな新しい機会を開くナノファブリケーションの偉業である」とコメントしている。
何百万もの柱状ナノ構造を使って光を集束させるほとんどのフラットメタレンズは、グリッターとほぼ同じ大きさである。2019年には、深紫外線(DUV)プロジェクションリソグラフィと呼ばれる技術を用いたセンチメートルスケールのメタレンズを、 Capassoとそのチームが開発した。それは、ガラスウエファに直接エッチングできるナノ構造パターンを投影して形成し、以前のメタレンズに必要だった時間のかかる書き込みおよび堆積プロセスを排除する。

DUVプロジェクションリソグラフィは、スマートフォンやコンピューター用のシリコンチップの細い線や形状をパターン化するために一般的に使用されている。SEASの元院生、現在Capassoのチームのポスドク研究者Joon-Suh Parkは、この技術がメタレンスの大量生産に使用できるだけでなく、仮想現実や拡張現実アプリケーションためにサイズを大きくできることを実証した。

しかし、天文学や自由空間光通信の用途のためにメタレンズをさらに大きくすることは、工学的な問題を引き起こした。

「リソグラフィ装置はコンピュータチップの製造に使用されるので、チップサイズは20〜30㎜以下に制限されるため、大きな制限がある。直径100mmのレンズを作るには、この限界を乗り越える方法を見つける必要があった」と、論文の共同筆頭著者Parkは説明している。

Parkとチームは、DUVプロジェクションリソグラフィ装置を用いて、いくつかのパターンのナノピラーをつなぎ合わせる技術を開発した。チームは、レンズを25のセクションに分割し、回転対称性を考慮して象限の7つのセクションのみを使用することで、DUVプロジェクションリソグラフィが187億個の設計どおりのナノ構造を10㎝の円形領域に数分でパターン化できることを示した。また、ガラスにエッチングされた高アスペクト比の平滑な側壁ナノピラーを作製できる垂直ガラスエッチング技術も開発した。

SEASのポスドク研究者、論文の共同筆頭著者Soon Wei Daniel Limは、「同じDUVプロジェクションリソグラフィを使用して、対応するCMOSファウンドリツールが業界でますます利用可能になるにともない、大口径の収差補正メタ光学系や、より大きなガラス径のウエファ上にさらに大きなレンズを製造できる」とコメントしている。

Limは、大量生産プロセス中に発生する可能性のあるすべての製造エラーと、それらがメタレンズの光学性能にどのように影響するかの完全なシミュレーションと特性評価において主導的な役割を果たした。

研究チームは、製造上の課題に対処した後、天体のイメージングにおけるメタレンズの威力を実証した。

カラーフィルタとカメラセンサを備えた三脚にメタレンズを取り付け、Parkとチームはハーバード大学科学センタ屋上に登り、そこで、太陽、月、北アメリカ星雲(約2,590光年離れた白鳥座の薄暗い星雲)を撮影した。

「太陽、月、星雲の非常に詳細な画像を得ることができた。これは、従来のレンズで撮影した画像に匹敵するものである」と、カパッソ研究室の院生、論文の共著者Arman Amirzhanは話している。

研究チームは、メタレンのみを使用して、同じ日に撮影されたNASAの画像と同じ太陽黒点群を画像化することができた。

また、宇宙打ち上げ時に発生する極度の高温、極寒、激しい振動にさらされても、光学性能が損なわれたり損なわれたりすることがないことも実証した。

このレンズは、そのサイズとモノリシックなガラス組成により、長距離通信や指向性エネルギー輸送アプリケーションにも使用可能である。