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EPFL、光と電子をブリッジング

January, 26, 2024, Lausanne--EPFLとMax Planckの研究チームは、非線形光学系と電子顕微鏡法を融合させ、材料研究と電子ビームの制御における新しい能力を利用可能にした。

光が物質を透過すると、予測不能な動作をすることがよくある。この現象は「非線形光学」と呼ばれる研究分野全体の対象であり、レーザ開発や光周波数計測から重力波天文学や量子情報科学に至るまで、技術的および科学的進歩に不可欠なものとなっている。

さらに、近年では、非線形光学系が光信号処理、電気通信、センシング、分光法、光検出および測距に応用されている。これらのアプリケーションはすべて、小さなチップ上で非線形に光を操作するデバイスを小型化し、複雑な光の相互作用をチップスケールで実現している。

今回、EPFLとMax Planck研究所の科学者チームは、光の代わりに電子をイメージングに使用する顕微鏡の一種である透過型電子顕微鏡(TEM)に非線形光学現象を導入した。この研究は、EPFLのTobias J. Kippenberg教授と、Max Planck Institute for Multidisciplinary Sciences所長Claus Ropers教授が主導した。この論文は、Science誌に掲載された。

この研究の中心にあるのは「Kerrソリトン」と呼ばれる光の波で、海を渡る完璧な波のように、物質の中を移動しながらその形とエネルギーを保持している。この研究では、数十フェムト秒(fs)持続し、マイクロ共振器内で自発的に形成される安定した局所的光パルス「散逸性」と呼ばれる特定タイプのKerrソリトンを使用した。散逸性Kerrソリトンは電子とも相互作用するので、この研究に不可欠だった。

研究チームは、光を反射キャビティ内に閉じ込めて循環させる小さなチップであるフォトニックマイクロ共振器内に散逸性カーソリトンを形成し、これらの波に最適な条件を作り出した。「われわれは、連続波レーザによって駆動されるマイクロ共振器で、さまざまな非線形時空間光パターンを生成した」と、研究を主導したEPFLの研究者Yujia Yangは説明している。「これらの光パタンは、フォトニックチップを通過する電子ビームと相互作用し、電子スペクトルにフィンガープリントを残した」。

具体的には、自由電子と散逸性Kerrソリトンの結合を実証し、マイクロ共振器キャビティ内のソリトンダイナミクスを調べ、電子ビームの超高速変調を行うことを可能にした。

「TEMで散逸性Kerrソリトン(DKS)を生成するわれわれの能力は、マイクロ共振器ベースの周波数コムの使用を未踏の領域にまで広げる。電子とDKSの相互作用により、小型フォトニックチップを搭載した高繰り返しレートの超高速電子顕微鏡と粒子加速器が可能になる」とKippenbergは説明している。

「われわれの結果は、電子顕微鏡がナノスケールで非線形光学ダイナミクスをプローブするための強力な技術になり得ることを示している。この技術は非侵襲的で、共振器内磁場に直接アクセスすることができ、非線形光学物理学の理解と非線形フォトニックデバイスの開発の鍵となる」とRopersは付け加えている。

フォトニックチップは、EPFLのマイクロナノテクノロジーセンタ(CMi)と物理学研究所のクリーンルームで製造された。実験はゲッティンゲン超高速透過型電子顕微鏡(UTEM)ラボで行われた。