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Science/Research 詳細

100nmの“ずれ”が共鳴のスイッチに

January, 18, 2024, 大阪--大阪大学大学院工学研究科の高原淳一教授らの研究グループは、国立台湾大学Shi-Wei Chu教授および済南大学Xiangping Li教授と共同で、単結晶シリコンで作られたナノ共振器構造において高次のミー共鳴を発生させるための新たな条件を発見した。

これまでの理論では、ミー共鳴の共鳴モードは、主にナノ構造のサイズと入射光の波長の関係のみによって決定され、他の方法でコントロールすることは難しいと考えられていた。今回、高原教授らの研究グループは、シリコンナノ構造を強く集光されたレーザ光を使って照明した場合、照明位置を対象のナノ構造の中心に対して100nmほど「ずれ(変位)」させると高次のミー共鳴を発生できることを明らかにした。
この研究は、光と物質の相互作用に関する基本的な理論を拡張させるとともに、低消費電力での全光スイッチングデバイスや光アンテナなどのフォトニックデバイス分野への応用が期待される。

研究成果は、科学誌「Nature Communications」に、2023年11月8日にオンライン公開された。

研究成果の要点
・シリコンナノ共振器構造において、集光したレーザ照明光の位置をナノ構造の中心から100nm程度変位させることで、「変位共鳴」として高次のミー共鳴モードを誘起できることを示した。
・従来の理論では、ミー共鳴モードを操作するには入射光の波長もしくはナノ共振器のサイズを変えるしかないと考えられてきた。
・電気を用いない低消費電力での全光スイッチングデバイスや光アンテナなどの高効率なフォトニックデバイスへの応用が期待される。

(詳細は、https://rensou.osaka-u.ac.jp)