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ボウタイ共振器、ナノとマクロ間のギャップをブリッジ

January, 10, 2024, Lyngby--Nature誌に掲載された新しい論文では、新世代の製造技術を採用することで、2つのナノテクノロジーのアプローチが収束している。それは、半導体技術の拡張性と、自己組織化によって可能になる原子寸法を兼ね備えている。

量子光学とフォトニクスの中心目標は、光と物質の相互作用の強度を高めて、例えばより優れた光検出器や量子光源などを生み出すこと。そのための最良の方法は、光を長時間蓄積する光共振器を使用し、光が物質とより強く相互作用するようにすることである。共振器も非常に小さく、光が微小な空間領域に押し込まれる場合、相互作用はさらに強化される。理想的な共振器は、1原子サイズの領域に光を長時間蓄積する。

物理学者やエンジニアは、何十年にもわたって、損失をあまり出さずに光共振器を小さくする方法について苦闘してきたが、これは半導体デバイスをどれだけ小さくできるかという問いと同じである。半導体産業の今後15年間のロードマップでは、半導体構造の最小幅は8nm程度、つまり原子数十個分の幅になると予測されている。

Nature誌に掲載された新しい論文の研究チーム、DTU ElectroのSøren Stobbe准教授のチームは、前年に、8nmの共振器を実証したが、今回、数原子のスケールで空気空隙を持つ自己組織化キャビティを作製する新しいアプローチを提案し、実証した。この研究成果を詳述した論文「原子スケールの閉じ込めによる自己組織化フォトニックキャビティ」は、Nature に掲載されている。

実験を簡単に説明すると、二等分されたシリコン構造がスプリングに吊り下げられているが、最初のステップでは、そのシリコンデバイスはガラス層にしっかりと取り付けられている。デバイスは従来の半導体技術で作られているため、それぞれのシリコンは数十ナノメートル離れている。ガラスを選択的にエッチングすると、その構造は解放され、スプリングによってのみ吊り下げられる。それぞれが互いに非常に接近して製造されているため、表面力によって引き付けられる。シリコン構造の設計を慎重に設計することで、シリコンミラーに囲まれた原子スケールのボータイ型のギャップを持つ自己組織化共振器が完成する。

「われわれは、完全に自己構築する回路には程遠い。しかし、これまで並行してトラックを進んできた2つのアプローチを収束させることに成功した。これにより、前例のない小型化でシリコン共振器を構築することができた」とSøren Stobbeはコメントしている。

2 つの個別のアプローチ
その1つ、トップダウンのアプローチは、シリコンベースの半導体技術に見られる目覚ましい発展の背景にある。ここでは、大雑把に言えば、シリコンブロックからナノ構造を作る作業を行う。もう1つのアプローチは、ボトムアップアプローチで、ナノテクノロジーシステムを組み立てようとするものである。これは、生物学的または化学的プロセスによって構築された植物や動物などの生物学的システムを模倣することを目的としている。この2つのアプローチは、ナノテクノロジーを定義するものの核心をなすものである。しかし、問題は、これまでの2つのアプローチが切り離されていたことである。半導体はスケーラブルではあるが原子スケールには到達できず、一方、自己組織化構造は原子スケールで長い間動作してきたが、外部世界との相互接続のためのアーキテクチャを提供しない。

「興味深いのは、人間が成長するにつれて起こるように、無機半導体材料で、それ自体を構築する電子回路を作れるかどうかだ。それが真の階層的自己組織化である。フォトニック共振器は、エレクトロニクス、ナノロボティクス、センサ、量子技術など、様々な分野で利用される可能性のある新しい自己組織化の概念を使用している。そうすれば、ナノテクノロジーの潜在能力を最大限に引き出すことができる。研究コミュニティは、そのビジョンの実現には多くのブレイクスルーがあるが、最初の一歩を踏み出したと期待している」と、プロジェクトの共同監督者Guillermo Arreguiは話している。

収束するアプローチ
DTU Electroチームは、この2つのアプローチの組み合わせが可能だと仮定して、従来のリソグラフィとエッチングしか使用しないにもかかわらず、従来のリソグラフィとエッチングの限界を超えるナノ構造の作成に着手した。チームのアイデアは、2つの表面力、すなわち2等分された部分を引き付けるためのカシミール(Casimir)力と、それらをくっつけるためのファンデルワールス力を使用することだった。これら2つの力は、同じ根本的な効果である量子ゆらぎに根ざしている。

研究チームは、光子をエアギャップに閉じ込めるフォトニック共振器を非常に小さくしたため、透過型電子顕微鏡を使用しても正確なサイズを決定することはできなかった。とは言え、チームが構築した最小のものは、1〜3個のシリコン原子のサイズである。

「自己組織化がこれらの極限的寸法に到達するのに役立ったとしても、ナノファブリケーションの要件も同様に極限的である。たとえば、構造上の欠陥は、通常、数ナノメートルのスケール。それでも、この規模で欠陥がある場合、2等分のものは3つの最大の欠陥でしか接触しない。われわれは、世界最高の大学のクリーンルームの1つでデバイスを製造しているが、ここでは実際に限界を押し広げている」と、DTU ElectroのNanoPhoton Center of ExcellenceのPh.D学生、新い論文の筆頭著者Ali Nawaz Babarは話している。

「自己組織化の利点は、微小なものを作れること。驚くべき特性を持つユニークな材料を作ることができる。しかし、今日では、電源コンセントに差し込むものに使用できない。つまり、世界と繋がることができない。そのため、自己組織化したものを外界に接続するためのワイヤや導波路を作るための通常の半導体技術をすべて必要とする」

堅牢で正確な自己組織化
論文は、自己組織化による原子寸法と、従来の方法で作製した半導体の拡張性を併せ持つ新世代の製造技術を採用することで、2つのナノテクノロジーのアプローチを結びつける可能性を示している。

「後に、これらのキャビティを見つけて、別の構造に挿入する必要はない。これもサイズが小さいため不可能である。言い換えれば、われわれはすでに巨視的な回路に挿入された原子のスケールで何かを作っているのである。われわれはこの新しい研究分野に非常にワクワクしており、先には多くの研究があると考えている」とSøren Stobbeは話している。