December, 27, 2023, Bremen--湿気の多い寒い環境は風力発電の敵である。ローターブレードに氷の層が形成されると、回転のバランスが崩れ、摩耗が増加する可能性がある。このような場合、タービンを数日間停止しなければならないことが多く、発電が一時停止するため、オペレーターに多大な損失をもたらす。今回、Fraunhoferチームは、ドローンを使ってローターブレードを氷から守ることに初めて成功した。
この新技術は、Fraunhofer製造技術・先端材料研究所(IFAM)とFraunhofer生産技術・自動化研究所(IPA)の専門家が共同で開発したプロジェクト「TURBO — ドローンによる仮塗装」である。
これまで、風力タービンを氷から守りたいオペレータは、ポケットを深く掘り下げる必要があった:ブレードやロータに暖かい空気を送り込むシステムに組み込むことができる加熱マットは、タービンに除氷剤を噴霧するためのヘリコプターの使用と同様に、非常に高価である。
「必要なときにのみ使用されるドローンは、費用対効果の高い代替手段となる」と、Fraunhofer IFAMのプロジェクトマネージャ、Andreas Stakeは話している。とは言え、ドローンを使って氷を防ぐためには、いくつかの条件を満たす必要がある。 環境にやさしいだけでなく、コーティング材は良好な接着性と十分な耐久性を発揮し、ローターに何週間も留まり、氷から保護する必要がある。使用する噴霧システムは、高精度であると同時に軽量である必要がある。最後に、ドローンは高いペイロードを持ち、非常に正確な制御ができなければならない。
風力タービンにとって重要:環境に優しい材料と精密塗布機器
TURBOプロジェクトに取り組んでいるFraunhofer研究チームは、プロトタイプの開発に成功した。ブレーメンのFraunhoferIFAMの研究者が設計したコーティング材料は、尿素とワックスから作られ、環境に優しく、良好な接着性を示すという要件をすべて満たしている。この材料は、スプレー技術を使用して迅速かつ簡単に塗布でき、また迅速に乾燥する。このコーティングが、霜の形成から確実に保護することを確認するために、研究所の氷室でテストを受けた。
FraunhoferIPAチームは、コーティングを施すための装置を製作した。これは、尿素とワックスの混合液を高圧で細長いランスに押し込む小型ポンプで構成されており、その先端には直径わずか0.3mmのノズルがある。このエアレスポンプシステムは、直径100µmの液滴を生成できる。風速が時速35kmであっても、これらの液滴はローターブレードのエッジに正確に噴霧され、固まる。エッジは、湿った冷たい空気がタービンに当たったときに着氷プロセスが始まる場所であるため、特に重要である。
シミュレーションで確実な成功
FraunhoferIPAのプロジェクトマネージャDr Oliver Tiedjeと同氏のチームは、流体力学シミュレーションを使用して、必要な圧力、効率的な霧化方法、最適な液滴サイズなどの技術的パラメータを決定した。
「コーティングプロセスのモデリングにおける数十年の経験は、実に有用であった。われわれこの専門知識を活用することができた。しかし、風力タービンの複雑な形状にプロセスパラメータを適合させる必要があった」(Dr Oliver Tiedje)。
研究者チームは現在、業界のパートナーと協力して、この技術の開発をさらに進め、量産準備を整える予定である。風力タービンや鉄道輸送の架空送電線の防氷から、建物の改修(例えば、手の届きにくい建物の部分のレンダリングの欠陥の修理など)まで、ドローンを使用してコーティングを施すことができる用途は数多くある。
「TURBO:ドローンによる仮塗装 風車の着氷対策をケーススタディとして」は、塗装・原料メーカー、塗装装置・ドローンメーカー、風力発電事業者など19社が協賛した。このプロジェクトは、ドイツ連邦経済・気候行動省(BMWK)の資金提供を受け、顔料・塗料研究協会(FPL)を通じて、産業集団研究プロジェクト(IGF)としてドイツ産業研究協会連盟(AiF)に提出された。