カラーベースセンサ、肌の感度をエミュレート

December, 8, 2023, Lausanne--EPFLの研究者は、より自律的なソフトロボットとウェアラブル技術への一歩として、色を使って複数の機械的刺激と温度刺激を同時に感知するデバイスを開発した。

ロボット工学の研究者は、ウェアラブルデバイスやヒューマン・ロボット・インタフェースなどの技術にとって重要な位置、圧力、温度の変化を感知できるセンサの開発において、すでに大きな進歩を遂げている。しかし、人間の知覚の特徴は、一度に複数の刺激を感知する能力であり、ロボット工学はこれを実現するのに苦労してきた。

今回、EPFLの工学部のリコンフィギュラブル・ロボティクス・ラボ(RRL)のJamie Paikのチームは、曲げ、伸張、圧縮、温度変化の組み合わせを感知できるセンサを開発した。

ChromoSenseと名付けられたRRLの技術は、赤、緑、青に染められた3つのセクションを含む半透明のゴム製シリンダーに依存している。デバイス上部のLEDは、そのコアを介して光を送り、デバイスが曲がったり伸びたりしたときの色を通る光の経路の変化は、下部の小型スペクトルメータによって検出される。

「3種類のストローで3種類のスラッシーを同時に飲むと想像してみる。ストローを曲げたりねじったりすると、それぞれの味の割合が変わる。これはChromoSenseが採用しているのと同じ原理で、色付きセクションの形状が変形するにつれて、色付きセクションを通過する光の変化を感知する」(Paik)。

また、デバイスの感熱部では、色が変化するTシャツやムードリングに似た特殊な染料を使用して、温度変化を検出することができ、加熱すると色の彩度が低下する。研究成果は、Nature Communications誌に掲載され、Editor’s Highlightsページに掲載された。

ウェアラブルへのより合理的なアプローチ
Paikの説明によると、カメラや複数のセンシング素子に依存するロボット技術は効果的だが、ウェアラブルデバイスを重くし、扱いにくくし、より多くのデータ処理が必要になる可能性がある。

「ソフトロボットがわれわれの日常生活でより良い役割を果たすためには、われわれが何をしているかを感知できる必要がある。従来、最も速く、最も安価な方法は、ビジョンベースのシステムを使用することだった。ビジョンベースのシステムは、すべてのアクティビティを捉え、必要なデータを抽出する。ChromoSenseは、より的を絞った情報密度の高い読み取りを可能にし、センサは様々なタスクのために多様な材料に簡単に埋め込むことができる」と同氏は、説明している。

ChromoSenseは、そのシンプルな機械構造とカメラよりもカラーを使用しているため、安価な大量生産に役立つ可能性がある。Paikの考えでは、移動支援用エグゾスーツなどの支援技術に加えて、スポーツ用品や衣服にもChromoSenseが日常的に適用されており、ユーザーに自分の体型や動きに関するフィードバックを提供することができる。

ChromoSenseの強みである複数の刺激を一度に感知する能力は、弱点にもなり得る。同時に加えられた刺激を切り離すことが研究者が取り組んでいる課題であるので、現在、Paikは、局所的に加えられた力、つまり材料が形を変えたときの正確な境界を感知する技術の向上に注力している。

「ChromoSenseが普及し、多くの人が汎用のロボットセンシングソリューションとして使いたいと思えば、センサの情報密度をさらに高めることは、非常に興味深い課題になる」(Paik)。

同氏は今後、円筒形やウェアラブルソフトエグゾスーツの一部としてプロトタイプ化されたChromoSenseの様々なフォーマットを試すことも計画しているが、RRLの特徴的な折り紙ロボットにより適したフラットな形状も考えられる。

「われわれの技術では、光が通過する限り、どんなものでもセンサになり得る」とPaikは話している。