December, 7, 2023, 東京--NEDOが委託する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環で、富士通株式会社と株式会社KDDI総合研究所は、既設光ファイバを用いた大容量マルチバンド波長多重伝送技術の開発に成功した。
従来、中長距離の商用光通信では使用されていなかったC帯以外の波長帯を、一括波長変換およびマルチバンド増幅技術を用いて伝送可能にする技術を開発した。
この技術を導入した光ファイバ通信網では、現状の商用光伝送技術に比較して5.2倍の波長多重度での伝送が可能になりる。また、既設の光ファイバ設備を利活用するため、経済的かつ省力的に通信トラフィックを増大できる。さらに拡張工事が難しい都市部や密集地での伝送容量を容易に拡大でき、サービス開始までの時間短縮やコスト削減も期待できる。
今回の成果
今般、NEDOおよび富士通、KDDI総合研究所は、既設光ファイバ通信網を用いた光通信の伝送容量を拡大する技術の開発に成功した。
富士通は、マルチバンド伝送における伝送性能の劣化要因を考慮したシミュレーションモデルを構築し、マルチバンド波長多重システムの伝送設計を可能にした。シミュレーションモデルには、商用光ファイバ特性の測定結果および一括波長変換器/マルチバンド増幅器の実験系検証により抽出した伝送パラメータを反映することで、実機測定との誤差を1dB以内に抑える高精度シミュレーションを実現し、バンド帯間の相互作用や伝送性能の劣化を考慮した設計を可能にした。また、KDDI総合研究所は、これまで高密度波長分割多重(DWDM)伝送で活用されることがなかったO帯で、従来のC帯の2倍の周波数帯域幅の活用を可能にした。両者の技術を組み合わせ、既設の光ファイバを用いて実際に伝送実験を行い、O帯、S帯、C帯、L帯、U帯でのマルチバンド波長多重伝送(伝送距離45km)を実証し、従来のC帯のみの伝送と比べて波長多重度5.2倍の伝送が可能であることを示した。さらにシミュレーションでは、S帯、C帯、L帯、U帯でのマルチバンド波長多重伝送(伝送距離560km)を確認した。
同技術を導入した光ファイバ通信網では、C帯を用いた商用光伝送と比較して5.2倍の波長多重度での伝送が期待でき、既設の光ファイバ設備を利活用することにより、経済的かつ省力的に伝送容量を拡大できる。さらに拡張工事が難しい都市部や密集地でも容易に伝送容量を拡大でき、サービス開始までの時間短縮やコスト削減も期待できる。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)