November, 30, 2023, 仙台--東北大学、理学研究グループは、一次元鎖ヨウ素架橋白金錯体中において、カウンターアニオンにアルキル鎖を複数導入することで、一次元鎖白金三価錯体の実現に成功した。
この研究成果をブレークスルーとして、今後、一次元鎖白金三価錯体の基礎物性解明や、非線形光学材料、光スイッチ、光通信などへの応用に繋がることが期待されている。
120年以上前に発見された一次元鎖ハロゲン架橋白金系金属錯体は、多彩な化学構造・結晶構造に応じて、光物性をはじめとする様々な物性を示す。特に、一次元鎖ニッケル三価錯体は巨大三次非線形光学効果を示すことが知られており、一次元鎖三価錯体は光学材料への応用が期待される。そのため、これまで様々なアプローチで一次元鎖三価錯体の開発がおこなわれてきたが、未だにニッケル以外の金属では実現されていなかった。特に白金三価錯体は電荷移動吸収帯が低エネルギー側にシフトすると予想されていたために、ニッケル錯体を凌駕する巨大三次非線形光学効果が期待されていた。
発表の要点
120年以上前に始祖となる物質が発見されて以来、一次元鎖ハロゲン架橋白金錯体は白金二価/四価混合原子価錯体となるのが常識とされていた。
・今回、アルキル鎖間にはたらく化学的引力(ファスナー効果)を利用することで、一次元鎖白金三価平均原子価錯体の合成に世界で初めて成功した。
・この物質は、巨大三次非線形光学材料、光通信、光スイッチなどへの利用や新規物性研究への展開を導くことが大いに期待される。
研究成果は11月4日、化学分野の専門誌Chemical Communicationsに掲載された。
(詳細は、https://www.tohoku.ac.jp)