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眼病と眼のガンの新しい治療法の発見

November, 15, 2023, Toronto--眼疾患はあらゆる年齢の人々に影響を与える可能性があり、効果的に治療しないと、視覚障害や失明につながる可能性がある。
最も一般的な眼疾患の中には、異常な血管の成長を特徴とするものがあり、これは「滲出型(ウエット)」加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症、眼腫瘍などの疾患に見られる新血管形成と呼ばれるプロセス。Fighting Blindness Canadaによると、AMDは高齢者の失明の主因であり、カナダだけでも約250万人が罹患している。2024年1月にテキサス大学(UoT)のLeslie Dan Faculty of Pharmacyに着任する予定の科学者、この分野の第一人者であるTim Corsonは、「血管新生眼疾患は生涯を通じて失明の主因であり、世界中で数千万人が罹患している。われわれの研究は、異常な成長がどのように起こるかを理解し、その病気のプロセスを止めるために治療に使用できる新しい分子を開発することによって、血管の成長を止める新しい方法を見つけることに焦点を当てている」と話している。

異常な血管の成長への取組
2017年、Corsonの研究チームは、フェロケラーゼという酵素を血管の異常な成長と関連付けた最初のグループであり、現在、血管新生眼疾患の新しい治療法につながる可能性のある新しい阻害剤を探索している。また、このアプローチは、網膜芽細胞腫(5歳未満の小児に多く発症する小児ガン)など、新しい血管の成長と転移を必要とする眼ガンの治療法の研究にも応用できる可能性がある。

2023年9月、関連研究は米国国立衛生研究所(NIH)/国立眼研究所から230万ドル以上の助成金を受け、多額の支援を受けた。「われわれの出発点は、血管細胞の増殖を阻害できることがわかっている分子を実験室で採取し、それらがどのように機能するかを理解し、その知識を使用して、治療用の新しい、より強力な可能性のある分子を開発することだった」と、Corsonは話している。同氏は、現在インディアナ大学医学部薬理学および毒物学部門教授兼議長。

眼疾患の新薬製剤は、患者の経験と有効性向上l可能性
血管新生眼疾患の治療に使用される既存の薬があるが、それらはすべて同じ作用メカニズムに依存しており、すべての患者が反応したり、状態の改善を経験したりするわけではない。滲出型AMDに関しては、30%もの患者が反応しない。さらに、Corsonによると、この分野の大きな課題は、これらの疾患に対する既存の全薬剤を毎月のように頻繁に眼に注射しなければならないことであり、これは侵襲的で痛みを伴い、リソースの少ない環境では達成が困難である。同教授は、既存のコラボレーションを補完するために、Leslie Dan Faculty Pharmacy内およびU of T全体の製剤専門家と協力して、様々な侵襲性の低い方法で患者に新薬を提供する機会を得たいと考えている。

「われわれの発見の一部を、より橋渡的な方向に持っていくことに、ワクワクしている。われわれが行う研究のほとんどは、創薬の初期段階にあり、分子の発見と検証である。しかし、学部内の製剤と医薬品開発の専門知識により、分子を必要な場所、つまりポイントオブケアで届ける新しい方法を考え出す絶好のな機会がある」(Corson)。

創薬と開発における橋渡研究は、Leslie Dan薬学部の重点分野であり、機械学習などの迅速で革新的な技術がより広く採用され、引き続き注力と成長の分野となっている。
「Corson教授のメカニズム生物学と創薬・開発技術の融合は、実に面白い」と、レスリー・ダン薬学部の学部長代理、Micheline Piquette-Millerはコメントしている。
(詳細は、https://www.pharmacy.utoronto.ca)