Science/Research 詳細

フォトニックペイントでフレキシブル3Dイメージング

November, 9, 2023, 合肥市--中国の研究チームは、布地やその他の繊維基材に印刷して3Dステレオイメージングを実現できる新しいフォトニック塗料を実証したと報告している(Sci. Adv., doi: 10.1126/sciadv.adi9944)。

印刷可能な材料は、イメージングおよびディスプレイアプリケーションに特に有益であることが知られている円偏光発光(CPL)を放出するように特別に配合されており、スケーラブルな製造プロセスは、ウェアラブルおよびスマートエレクトロニクス技術の革新を促進するのに役立つ可能性がある。

キラル液晶マイクロスフェア
今回開発したフォトニックペイントは、すでに剛性ディスプレイパネルに採用されているキラル液晶の特異な光学特性を利用して、広視野角で高コントラスト画像を提供する。しかし、これらの材料は可動性により、セル構造内に閉じ込める必要がある。したがって、フレキシブルディスプレイでの使用は難しい。

今回の研究では、中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)の研究チームは、ポリマシェル内にキラル液晶を封入する新しい化学プロセスを考案した。液晶は最初に蛍光染料と混合され、2つの天然ポリマで乳状にされ、冷却するとネットワーク構造に架橋され、しっかりとした外層を形成する。得られたコアシェルマイクロスフィアは、紫外線を照射すると強いCPL発光を発し、左利きまたは右利きのCPLを生成する赤、緑、青のフォトニック塗料に配合することができる。

テキスタイルのCPL
研究チームは、このペイントを使って、ポリプロピレンやコットン、ポリエステルの布地など、様々な繊維素材にカスタマイズされたグラフィックを描いた。また、伸縮性のあるポリエステル素材にペイントをスプレー印刷することで、メートルスケールの発光テキスタイルを作成し、強い円偏光特性で均一な発光を実現した。

さらに、チームは、ポリエステル生地にフルカラーピクセルアレイの3つのグループをプリントすることにより、柔軟なディスプレイパネルを作製した。2つの異なるピクセルアレイは、左利き用と右利き用の直交するCPL発光となり、反対の偏光状態を持つ2つの隣接する画像を目に提示することで、没入型の3D感覚を生み出す。

ウェアラブルエレクトロニクス向けたその技術の可能性を示すために、チームは、時刻や任意のテキストなどの情報を表示するようにプログラムできる、時計のような柔らかいリストバンドを作った。また、立体情報を動的に表示し、3Dアドレス指定やナビゲーションなどのインテリジェントアプリケーションを可能にする可能性のあるウェアラブルテキスタイルデバイスの概念設計も発表した。