November, 2, 2023, 東京--産業技術総合研究所(産総研)、物理計測標準研究部門 量子電気標準研究グループ 中村 秀司 主任研究員らおよび東京理科大学 吉岡輝昭 大学院生と蔡兆申 教授らは、超伝導量子ビットを高い忠実度で高速に初期化する新しい手法を開発した。
近年提案されている量子誤り訂正をもちいた大規模な量子コンピュータでは、量子ビットを任意のタイミングで高速かつ高い忠実度で初期化する必要がある。新手法は、超伝導量子ビットの励起状態を光子の状態に変換し、変換した光子をナノ加工によって作製した超伝導・常伝導接合で吸収することにより、超伝導量子ビットを初期化するもの。この手法では量子ビットへの影響を小さく保ったまま、高い忠実度で高速に量子ビットを初期化することができる。
研究ではこの手法を用いて、従来の手法に比べて約65%に短縮した約180ナノ秒(ns)の初期化時間において99%以上の忠実度で量子ビットを初期化することに成功した。各国で盛んに研究が行われている量子コンピュータの実現に向けた研究開発への貢献が期待される。
この技術の詳細は、2023年10月30日(インド時間)に「Physical Review Applied」誌に掲載された。
(詳細は、https://www.tus.ac.jp)