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EO変調器、信号品質改善、ノイズキャンセル

October, 17, 2023, Orlando--新しいクラスの光変調器は、光ファイバ通信のデータ転送を高速化し、効率を高めることができる。

仮想アリーナで敵と戦っている場合でも、世界中の同僚と協力している場合でも、遅延による混乱は、シームレスなコミュニケーションと没入型エクスペリエンスの大きな障害となる可能性がある。

そのため、UCFの光学フォトニクス大学(CREOL)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者は、光ファイバ通信を介したデータ転送を高速化し、より効率的にするための新しい技術を開発した。

新開発の光変調器は、Nature Communications誌掲載の論文で詳しく説明されている。変調器は、光通信システムにおけるデータ伝送光の特定の特性を制御する光スイッチのようなものと考えることができる。

「インターネットハブとデータセンタ内の接続サーバ、ストレージ要素、スイッチの間で大量のデータを伝送する光ファイバ通信は、デジタル世界を構築するバックボーンである。このようなリンクの基本的構成要素である光ファイバ、半導体レーザ、光変調器、受光器はすべて、データ伝送の帯域幅と精度に制限を設けている」と、研究の共著者でCREOL教授、Sasan Fathpourはコメントしている。

Fathpour によると、特に光ファイバの分散、長距離での信号の歪み、半導体レーザのノイズ、つまり不要な信号干渉は、データ伝送と信頼性に影響を与える光通信と信号処理システムの 2 つの基本的な制限である。

チームの研究により、位相の多様性、つまり信号の様々なタイミング、差動動作、光信号の比較を利用して、両方の制限に同時対処する独自のクラスの光変調器を発明したと同氏は話している。

これにより、研究チームは、データ送信を制御するとともに、システム内を移動するデータ量とタイミングを比較しながら制御する高度な「光スイッチ」を実現した。これは、正確で効率的な送信を保証する。

「4相電気光学変調器と呼ばれるこの回路は、薄膜ニオブ酸リチウム(LN)で実証されている。これは、光通信を含む統合フォトニックアプリケーション向けの超小型プラットフォームである」(Fathpour)。

同氏によると、位相ダイバーシティと作動動作の概念は、この研究の前に存在し、UCLAチームが研究していた。

「問題は、市販の光学部品と既存の変調器アーキテクチャでは、これら2つの動作を同時に実現できないことだ。薄膜LNプラットフォームはコンパクトであるので、同じ小型チップ上に複数のコンポーネントを緊密に統合することことができ、4相EO変調器の概念を形作るのに役立った」(Fathpour)。

UCLAの電気&コンピュータ工学部の名誉教授、工学のFang Lu Chair、Bahram Jalaliによると、この概念は、25年間の研究からタイムストレッチ機器を生みだした。つまり、超高速シングルショットイベントをキャプチャするための最も効果的な方法として存在する光学スローモーション技術である。

「1990年代にUCLAで発明されたタイムストレッチ技術は、世界最速の分光計、カメラ、LiDAR、速度計、オシロスコープなどの開発のようなブレークスルーを生み出し、最終的には光学不正波の発見、革新的な血液スクリーニング顕微鏡の導入になった。この新しいEO変調器アーキテクチャは、超高速データをレーザビームにエンコードするための改善された方法の実現探求から上り詰めて、高帯域幅と高感度のタイムストレッチ機器を可能にした」(Jalali)。

研究方法
4相EO変調器は、信号処理の解析に使用されるタイムストレッチシステムのコンテキスト内で分析され、その動作を説明するための包括的な分析モデルが開発された。同技術は、微調整のためのシミュレーションツールを使用して、電気光学帯域幅と変調効率についても最適化された。

光通信における4相EO変調器の応用も検討された。4相EO変調器がコモンモードノイズと分散を除去できることが示され、シミュレーション結果は、光通信システムの信号品質と電力バジェットを改善する能力を実証した。

Ehsan Ordouie ’23PhDは、研究が行われたとき、光学とフォトニクスの博士課程学生であり、研究の筆頭著者。同氏は数理モデリング、デバイスシミュレーション、チップ設計、製造などに取り組んだ。

同氏によると、この革新的なデバイスは、単一のフォトニック集積回路で位相ダイバーシティと差動動作の両方を可能にし、それによって光通信リンクの分散ペナルティ、または信号品質の低下、およびノイズをキャンセルする。

「われわれの実験は、このアプローチが周波数応答に固有のヌル(nulls)を排除することを実証している。これは、フォトニックタイムストレッチシステムとコヒレント光通信システムにとって重要な進歩である」とOrduieは話している。さらに同氏は、「提案された変調器は標準的な変調器よりも複雑であり、チップサイズが大きくなり、製造歩留まりが低下する可能性があるが、位相多様性と差動動作の利点が複雑さの増加を正当化する。このブレークスルーは、フォトニックシステムの実用化における注目すべき進歩を表しており、より高速で効率的なデータ通信と取得の新しい可能性を開く」と説明している。