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自由電子レーザにおける「光のすり抜け現象」制御に成功

October, 10, 2023, 和光--理研、高輝度光科学研究センタなどの共同研究グループは、自由電子レーザ(Free Electron Laser:FEL)における「光スリッページ現象(光が電子をすり抜けて前方へ進む現象)」の観測と制御に成功した。

今回の研究成果は、パルス長(発光時間の長さ)が理論的極限である波長程度にまで圧縮された「単一サイクルFEL」の実用化や、理研放射光科学研究センターで稼働中のSACLAをはじめとするX線FEL施設を利用した、未知の超高速現象の解明に貢献することが期待される。

FELは、加速器で生成される高エネルギー電子ビームを発振媒体とするレーザ。発振波長に原理的な制約がない一方、光スリッページが短パルス化を阻害する。共同研究グループではこの問題を解決するための理論研究を進め、2015年に、光スリッページを制御し単一サイクルFELを実現するための基本原理を見いだした。今回、兵庫県立大学が運営するニュースバル放射光施設の電子加速器と近赤外短パルスレーザを利用してこの基本原理の検証を行い、光スリッページを制御することに成功した。

研究成果は、科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版(10月3日付)に、Editors’ Suggestion(編集者が選抜する、特に重要かつ興味深い成果と判断された論文)として掲載された。

共同研究グループ
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター 次世代X線レーザー研究グループの田中 隆次 グループディレクター、高輝度光科学研究センター 加速器部門 挿入光源グループの貴田 祐一郎 研究員、兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所の橋本 智 准教授、同大学院 理学研究科の田中 義人 教授他

(詳細は、https://www.riken.jp)