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Science/Research 詳細

伝送容量22.9Pbpsの光ファイバ通信を可能に

October, 10, 2023, 東京--情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心とした国際共同研究グループは、1本の光ファイバで世界最大の伝送容量となる毎秒22.9ペタビット(Pbps)の通信が可能であることを実証し、これまでの世界記録であった10.66Pbpsを2倍以上更新した。
本研究で当グループは、これまでに培ってきた、世界最先端の空間多重光ファイバを用いる技術と、世界最大級の波長多重を行う技術の融合に成功し、将来の大容量光通信インフラへの応用が期待されます。
実験結果の論文は、英国グラスゴーにて開催された、第49回欧州光通信国際会議(ECOC 2023)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間2023年10月5日(木)に発表した。

研究成果
NICTは、2020年に10.66Pbps伝送を実証した38コア3モード光ファイバ伝送システムのMIMO受信機をマルチバンド伝送用に拡張することで、マルチコア・マルチモード方式による空間多重と、マルチバンド波長多重の融合に成功し、合計22.9Pbpsに及ぶ超大容量光通信の可能性を実証した。

使用した波長数は、S帯で293波、C帯とL帯で457波の合計750波で、18.8 THzの周波数帯域を使用した。信号の変調には、情報量が多い偏波多重256 QAM方式を使用した。ほぼ周波数帯域の等しい4コアファイバでの実験と比べ、光経路の数を28.5倍に拡大した。

コアごとに約0.3〜0.7Pbps、全38コアの合計で22.9Pbpsの伝送容量が得られた。これは、現在の商用の光通信システムにおける伝送容量の約1,000倍に相当し、3年前の記録に比べ2倍以上の伝送容量拡大を果たした。

現在、4コアファイバの実用化が推進されているが、通信量が1,000倍になるといわれる将来に向けては光通信インフラの更なる高度化が求められ、超大容量の光ファイバを実用化していく必要がある。今回の研究は、将来の超大容量な情報通信ネットワークの実現に向けた、マルチコア・マルチモード方式による空間多重技術とマルチバンド波長多重技術の併用の初実証と位置付けられる。
(詳細は、https://www.nict.go.jp)