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EPFL、ガラスからフェムト秒レーザを作製

October, 6, 2023, Lausanne--EPFLの研究チームは、ガラス基板を使用して手のひらに収まるフェムト秒レーザを作ることが可能であることを示している。

フェムト秒レーザを完全にガラスで作ることができるか。これは、EPFLGalatea Laboratory責任者であるYves Bellouardが、実験室での実験のためにフェムト秒レーザを整列させるために何時間も費やした後、落ちたラビットホール(迷宮)である。

ガラテア研究所は光学、力学、材料科学の交差点にあり、フェムト秒レーザはBellouardの研究の重要な要素である。フェムト秒レーザは、非常に短く規則的なレーザ光のバーストを生成し、レーザ眼科手術、非線形顕微鏡、分光法、レーザ材料加工、最近では持続可能なデータストレージなどの多くの用途がある。市販のフェムト秒レーザは、光学部品とそのマウントを基板(通常は光学ブレッドボード)に置くことによって作られ、光学系の厳密な位置合わせが必要となる。

「われわれは、材料の非線形特性と、材料の体積をどのように変更できるかに関する研究にフェムト秒レーザを使用している。骨の折れる複雑な光学アライメントの演習を経験すると、複雑な光学系をアライメントするためのより簡単で信頼性の高い方法を夢想する」(Bellouard)。

研究チームの解決策は、市販のフェムト秒レーザを使用して、ガラスからフェムト秒レーザを作製し、クレジットカードサイズ以下で、位置合わせの手間を軽減する。結果はOptica誌に掲載されている。

ガラスからフェムト秒レーザを作る方法
ガラス基板を使用してフェムト秒レーザを作るために、チームはガラス板から始める。「安定したレーザを作りたいので、従来の基板よりも熱膨張が低く、安定した材料であり、使用するレーザ光に対して透明であるため、ガラスを使用している」とBellouard氏は説明している。

市販のフェムト秒レーザを使用して、チームはガラスの特別な溝をエッチングし、レーザの重要なコンポーネントを正確に配置できるようにする。ミクロンレベルの精密製造であっても、溝とコンポーネントは、レーザ品質アライメントに到達するのに十分な精度ではない。言い換えれば、ミラーはまだ完全に位置合わせされていないため、この段階では、それらのガラスデバイスはまだレーザとして機能していない。

チームはまた、以前の研究から、ガラスを局所的に膨張または収縮させることができることを知っている。この技術を使用して、ミラーの位置合わせを調整してはどうか。

したがって、最初のエッチングは、フェムト秒レーザ光に受けたときにミラーを局所的に攪拌するように設計されたマイクロメカニカルフレクシャを備えた溝に1つのミラーが配置されるように設計されている。こうして、市販のフェムト秒レーザを2回目に使用し、今回はミラーの位置合わせを行い、最終的には安定した小型フェムト秒レーザを作製する。

「レーザと物質の相互作用により自由空間の光学部品を恒久的に整列させるこのアプローチは、サブナノメートルまでの極端なアライメント分解能を持つ様々な光回路に拡張できる」とBellouard氏は話している。

アプリケーションとその先
ガラテア研究所で進行中の研究プログラムは、量子光学系アセンブリのコンテキストでのこの技術の使用を探求し、現在達成可能な小型化とアライメント精度の限界を押し広げている。

アライメントプロセスは依然として人間のオペレータによって監督されており、実際には達成するのに数時間かかる場合がある。その小さなサイズにもかかわらず、レーザは約kWのピークパワーに達することが可能であり、200fs未満のパルスを放出することができ、光が人間の髪の毛を横断するのにかろうじて十分な時間である。

この新しいフェムト秒レーザ技術は、Galatea LabのAntoine Delgoffeが率いるCassio-Pによってスピンオフされ、将来の商用デバイスへの概念実証を完成させることをミッションとして決定的な段階で同氏はプロジェクトに参加した。

「フェムト秒レーザがそれ自体を複製しているのに、われわれはおそらく製造されたデバイスを自己クローニングするポイントに到達するのか」と言うのがBellouardの結論である。