November, 17, 2014, Philadelphia--ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の研究チームは、ナノワイヤシステムを開発した。2つの光の波を統合して異なる周波数の第3の光を造り、光キャビティを使って出力強度を使えるレベルに増幅する。
「2つの入力信号をミックスして新しい出力を得るのが計算の基本。これは、電気信号で行うことは簡単だが、光では容易ではない。通常、光は相互作用しないからだ」と同大学の材料科学・工学教授、Ritesh Agarwal氏は説明する。
硫化カドミウムのような非線形材料は、それを透過する光の周波数を変えることができるが、必要なのは強力なレーザ。さらに、厚さが数100µm、ミリメートルのオーダーでないとコンピュータチップに使えない。
研究チームは、硫化カドミウムナノワイヤを透過する光の強度を増幅する方法が必要だった。
研究チームは、反響室のように機能する銀のシェル(シルバーシェル)でナノワイヤを部分的に覆った。ナノワイヤに入ってくる光の偏向を変えることで、光をデバイスの周波数変換、非線形部分、つまりナノワイヤコアにうまく閉じ込めることができた。
「硫化カドミウムとシルバーシェルの界面ではなく、光が硫化カドミウム内にほぼ閉じ込められるような構造を造ることでわれわれは第2高調波を生成しながら、強度を最大化することができる」とポスドク研究者、Ming-Liang Ren氏は説明している。
フォトニックコンピュータシステムの情報は波の周波数にエンコードできる。1つの波と別の波との属性を操作することでコンピュータロジックの基本が実現可能になる。
「最終的には、光をチューニングして必要な周波数にしたい、これはナノワイヤのサイズやシェルを変えることで可能だ」とAgarwal氏はコメントしている。
最も重要なことは、この周波数混合がナノスケールで、極めて効率的にできたことだ。研究チームの光キャビティは出力波の強度を1000倍以上にすることができた。
「硫化カドミウムの周波数変換効率は材料固有のものであるが、それは波が透過する材料の大きさに依存する。シルバーシェルを加えることで、サイズを大幅に縮小して、使える信号を得ることができ、デバイスをナノスケールサイズにすることができた」とAgarwal氏は語っている。