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放射光X線が地球核の化学組成を変える

September, 28, 2023, 仙台--理化学研究所と東北大学k研究チームは、カールスルーエ工科大学(KIT)量子材料科学研究所のロルフ・ハイト副所長との国際共同研究で、新たな絶対圧力スケール(状態方程式)を決定し、それに基づいて、地球の核の化学組成に変更を迫る成果を発表した。
研究成果は、太陽系外惑星の内部構造だけでなく、数百万気圧の高圧下における、物理学、化学、材料科学に関連するあらゆる物質の振る舞いに再評価を迫る重要な結果である。

国際共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」の世界最高輝度の放射光X線と、金属レニウムを用いて、超高圧下での圧力と物質の密度の関係を表す新しい絶対スケールを決定した。この絶対圧力スケールは、従来の2倍となる世界最高の圧力範囲で、地球の核内部の圧力まで外挿(既知の測定値から未知の値を推定・推測)することなく適用できる。これと比べると、従来のスケールは、地球の核内部の圧力領域において、20%以上も圧力を過大評価していたことが分かった。

地球の核は、固体鉄を主成分として、ケイ素、硫黄のような軽い物質が含まれている。今回の絶対圧力スケールを用いると、内核の条件では、固体鉄の密度が地震学的に観測された密度より8%大きく、従来の圧力スケールで見積もられていた密度との差の約2倍に当たる。この結果から、核に含まれる軽い物質は、地球の表層部(地殻)の質量の5倍以上に相当する量に見積もられることが分かった。これは、地球内部構造の議論において非常に重要な成果である。

研究成果は、オンライン科学雑誌『Science Advances』(9月8日付)に掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)

研究チーム
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター物質ダイナミクス研究グループのアルフレッド・バロン グループディレクター、東北大学大学院理学研究科地学専攻の生田大穣特任研究員(研究当時)、大谷栄治名誉教授他