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マイクロコムを10倍以上効率的にする新方法

September, 27, 2023, Chalmers--マイクロコムは、太陽系外の惑星を発見し、体内の新しい病気を追跡するのに役立つ。しかし、現在のマイクロコムは非効率であり、その潜在能力を最大限に発揮することができない。
今回、スウェーデンのチャルマース工科大学( Chalmers University of Technology)の研究者は、世界で初めてマイクロコムを10倍効率的にするソリューションを発表した。そのブレークスルーは、宇宙とヘルスケアにおける新しい発見への道を開き、広範な他の技術で高性能レーザへの道を開きく。

レーザ周波数コムは、画期的な精度で周波数を測定でき、レーザの誕生以来、この分野で最も破壊的な技術的進歩と見なされている。要は、マイクロコムは光で作られた定規のようなものである。この原理は、光が広範囲の周波数に分割される小さなキャビティ、いわゆるマイクロ共振器内を周回するフォトンを送信するレーザに基づいている。これらの周波数は、定規のマーキングのように、相互に正確に配置されている。したがって、レーザが一斉にビームを発するように、数百または数千の周波数で構成される新しい種類の光源を実現できる。

事実上すべての光学測定は光周波数に関係しているため、マイクロコムには、太陽系外惑星を探すために宇宙で光年の距離で信号を測定する機器のキャリブレーションから、吐き出す空気を介してわれわれの健康を特定して追跡することまで、多くのアプリケーションがある。

前例のない画期的な効率性
これまで、マイクロコムの根本的な問題は、その効率が弱すぎて社会に幅広い技術的影響を与えることができなかったことである。レーザとマイクロコムの間の変換効率が弱すぎるため、レーザビームに含まれるパワーのほんの一部しか使用できなかった。ところが今回、Chalmersの研究チームは、マイクロコムのレーザビームの効果を10倍に高める方法の開発に成功した。

「われわれは、これまで光変換効率の根本的な限界と考えられていたものを打破する新しい方法を開発した。われわれの方法は、ソリトンマイクロコムのレーザ出力を10倍増加させ、その効率を約1%から50%以上に高める」と、チャルマーズのフォトニクス教授、Victor Torres Companyは説明している。

新しい方法では、1つではなく2つのマイクロ共振器を使用する。それらは、その部分の合計よりも大きい特性を持つ優れた全体的効果を形成する。共振器の1つは、レーザからの光が他の共振器と結合できるようにする。エレクトロニクスのインピーダンスマッチングのようなものである。

さまざまな技術で高性能レーザへの道を開く
Nature Photonicsに掲載されたこの方法は、高性能レーザのまったく新しいアプリケーション分野を切り開く。この技術は差頃、プロジェクトの研究者によって特許を取得した。チームは、この技術をより広い市場に投入する会社、Iloomina ABを設立した。

「新しいマイクロコムは、高性能レーザ技術をより多くの市場で利用できるようにするため、変革の可能性を秘めている。たとえば、周波数コムは、自動運転用のLIDARモジュール、GPS衛星や環境センシングドローン、データセンタで使用して、帯域集約的なAIアプリを有効にすることができる」とTorres社は説明している。
(詳細は、https://www.chalmers.se)