September, 12, 2023, 東京--東京大学大学院と他の研究機関で構成される研究グループは、タイヤゴムをサンプルとし、標識することなく、タイヤゴムに使用されるフィラーの一つであるカーボン微粒子と高分子の動く様子を、世界最高速度890ナノ秒(ns)の時間分解能で計測することに成功した。
計測には、ドイツのハンブルクにある欧州X線自由電子レーザー(European XFEL)を用いた。
タイヤゴムのような複合材料系では、異種成分間の界面付近における微粒子や高分子の動きを把握することが、タイヤの性能を評価する上で重要である。今回、研究グループは、世界で初めて、ナノ秒レベルで原子サイズの高精度の分子運動計測に成功した。これにより、タイヤゴムの性能評価をするため、微粒子と高分子の動きの観察が可能となった。
この計測法の活用によりゴム劣化の早期診断や耐久性を向上させる材料開発などで時間短縮が期待できる。
研究成果は、Applied Physics Letters(APL)のオンライン版へ掲載された。
研究グループ
東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻の佐々木裕次教授(産業技術総合研究所先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ特定フェロー兼務)、茨城大学大学院理工学研究科物質科学工学領域の倉持昌弘助教、住友ゴム工業(株)研究開発本部分析センターの岸本浩通センター長
(詳細は、https://www.k.u-tokyo.ac.jp)