スマートウォッチでパーキンソン病のリスクを特定

September, 6, 2023, Cardiff--カーディフ大学の新しい研究では、スマートウォッチが臨床診断の最大7年前にパーキンソン病発症の可能性が高い人を予測するのに役立つ可能性があることがわかっている。

Nature Medicine誌に掲載された、大学の神経科学&メンタルヘルスイノベーション研究所(NMHII)と英国認知症研究所のチームは、加速度計(動きの加速度)を追跡するウェアラブル技術が、パーキンソン病発症可能性が最も高い一般集団から個人を特定する上で極めて重要であることを確認した。

パーキンソン病は、振戦や動きの遅さなどの運動症状で広く認識されているが、前駆期と呼ばれる病気の初期段階での非運動変化は、これらの症状の発症より何年も先行する可能性がある。

NMHIIの臨床上級講師Dr Kathryn Peallは、「パーキンソン病は、ドーパミンを使用する脳細胞の喪失によって引き起こされる進行性の運動障害だ。しかし、臨床診断時までに、これら脳細胞の約50〜70%が失われている。これにより病気の早期診断が難しくなる。

「パーキンソン病が発症するにつれて、移動速度に変化があることがわかっているので、加速度計がパーキンソン病の前駆マーカーとして機能し、最終的に早期診断が可能かどうかを調査した」(Dr Kathryn Peall)。

研究チームは、2006年に遡り、年齢40～69歳の50万超のUK Biobankデータを利用して、加速度計のデータを遺伝学、ライフスタイル、血液生化学、および前駆症状のデータに基づくモデルと比較した。

チームは、加速度計データを使用して訓練されたコンピュータプログラムが、臨床的に診断されたパーキンソン病と前駆パーキンソン病の両方の患者を一般集団と区別できることを確認した。チームの研究で加速度計よりも優れた日付タイプは他になかった。

カーディフ大学認知症研究所のDr Cynthia Sandorは、「われわれの知る限り、これは一般集団における前駆パーキンソン病の加速度計ベースバイオマーカーの臨床的価値の最初の実証である。われわれの結果は、加速の診断前減少がパーキンソン病に特有であり、われわれが調べた他のどの疾患でも観察されないことを示していた。

「これは、加速度計を使用して、前例のない規模でパーキンソン病リスクが高い人を特定できることを示唆している。

「臨床現場では、時間、コスト、アクセスのしやすさ、感度のために、個人の継続的あるいは半継続的モニタリング達成はできない。

「しかし、加速度計データを収集できるスマートデバイスは、何100万人もの人々が毎日着用している。

「これを臨床診療に投入するには、さらに多くの作業を行う必要があるが、われわれの発見は、パーキンソン病の早期診断における大きな飛躍を示しており、アクティビティトラッカーやスマートウォッチなどのデバイスが臨床モニタリングにおいて重要な役割を果たす可能性があることを示唆している」

論文「ウェアラブル運動追跡データにより、臨床診断の何年も前にパーキンソン病を特定」がNature Medicineに掲載された。