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ライス大学、量子センシングにTHz技術

August, 28, 2023, Houston--ライス大学の研究者は、以前は未利用のスペクトル部分を活用することを計画している。

「中赤外と遠赤外には、注目に値するギャップがあり、約5~15THzの周波数、20~60µmの波長範囲である。これらには、もっと高い光周波数や、低い無線周波数と比べてよい市販品が存在しない」とライス大学、博士課程、Rui Xuは言う。同氏は、Advanced Materials論文の主筆。

研究は、共著者Hanyu Zhu、Emerging Quantum and Ultrafast Materials Laboratory(量子と超高速材料研究所), 材料化学とナノエンジニアリング准教授、William Marsh Rice Chairにより行われた。

「この周波数域の光技術、残りの0.3~30THzギャップよりも遙かに利用が困難なために「新THzギャップ」と言われることがあるが、この領域は、室温に近い量子エレクトロニクス、医療診断用生体分子におけるセンシング機能グループとともに量子材料の研究と開発にとって極めて有用である」(Zhu)。

研究者が直面している課題は、「新しいTHzギャップ」で光を運び、処理するための適切な材料の特定だった。「そのような光は、ほとんどの材料の原子構造と強力に相互作用し、直ぐさまそれらによって吸収される。研究グループは、その強力な相互作用をチタン酸ストロンチウム、ストロンチウムとチタンの酸化物により、強い相互作用を利点に変えた。

「その原子は、THz光と非常に強力に結合し、フォノンポラリトンという新しい粒子を形成する。これらは材料表面に閉じ込められ、その内部で失われることはない」(Xu)。

もっと高い周波数で、通常は狭い範囲でフォノンポラリトンをサポートする他の材料と違い、チタン酸ストロンチウムは、量子常誘電状態により全5~15THzギャップで機能する。その原子は、大きな量子ゆらぎを示し、ランダムに振動する、したがって、捉えられた光によって自縄自縛になることなく光を効果的に捉える。例え0°Kでも捉えることができる。

「われわれは、超高速フィールドコンセントレータを設計、製造することで周波数範囲7~13THzのチタン酸ストロンチウムデバイスのコンセプトを証明した。そのデバイスは光パルスを光波よりも小さな堆積に圧縮し、短時間幅を維持する。したがってわれわれは、ギガボルト/m程度の強力な過渡電界を達成している」(Xu)。

電界は非常に強いので、材料構造を変えて新たな電子特性を作る、あるいは微量の特殊分子から非線形光反応を作るのに使える。これは、一般的な光学顕微鏡で検出可能である。Zhuによると、グループが開発した設計と製法は、多くの市販材料に適用でき、3~19THz範囲でフォトニックデバイスが可能になる。