August, 22, 2023, Washington--ドイツ、Bielefeld Universityの研究チームは、広視野高速超解像度イメージング用に構造化照明を使用する蛍光顕微鏡を開発した。
新しい顕微鏡は、複数の生きた細胞を広視野で同時イメージングするように設計されていた。様々な薬剤や薬剤の混合の効果を身体で調べるためである。
「多剤投与、慢性病あるいは高齢者に一般に処方される多くの薬剤の組合せの効果が、危険な相互作用となり、大きな問題になることがある」とドイツ、Bielefeld University、Henning Ortkrassは、コメントしている。「われわれは、この顕微鏡をEIC Pathfinder OpenProject DeLIVERyの一貫として開発した。目的は、個々の患者で多剤投与を研究できるプラットフォームの開発である」。
Optics Express誌で、研究チームは、励起光の光ファイバデリバリを利用するその新しい顕微鏡について説明している。この顕微鏡により、広視野で非常に高品質の画像が、マルチカラー、高速に可能になる。研究チームは、その顕微鏡が生きた細胞のイメージングに使えることを示している。視野は、最大150 x 150 μm²、イメージングレートは最大44Hz、同時に100nm以下の空時分解能を維持している。
「この新しい顕微鏡により、個々の薬剤の組合せが、独立した細胞でテストされ、さらに超解像度でイメージングされるので、細胞膜機能、オルガネルの動力学を観察できる。広視野は、細胞反応についての統計的情報を提供できる。これを使って、個人化ヘルスケアの改善が可能になる。同システムは、小サイズにできるので、高解像度が重要な臨床アプリケーションにも有用となる」(Ortkrass)。
広視野で高解像度
新しい顕微鏡は、超解像構造化照明顕微鏡(SR-SIM)ベースであり、構造化パタン光を使いサンプルを励起し、光の回折限界を超える空間分解能を達成する。SR-SIMは、特に生きた細胞のイメージングに適している。それがサンプルに損傷を与えないローパワー励起を使い、同時に詳細画像を生成するからである。
広いFOVで高解像度を達成するために新しい顕微鏡は、一連の生画像から超解像度画像を再構成する。これら生画像は、6本の光ファイバを使って得られる。これら光ファイバは、特別な情報を得るためにシフト、回転する正弦波縞模様でサンプルを照射する。これにより2倍の分解能改善が得られ、同時になお高速イメージングであり、生きた細胞のイメージングに適合している。
「ファイバ選択と位相シフトは、ガルバノミラーとMEMSミラーベース新設計のファイバスイッチを利用して行う。われわれは、六角形ホルダーをカスタム設計した。これにより6本のファイバのビームを顕微鏡にコリメートし、リフォーカスして大きなFOVを照射し、全ビームの精密調整ができるようにした。これにより全反射蛍光励起(TIRF)-SIMのためにセットアップを利用できるようにしている。これ利用して、蛍光励起と検出をサンプルの薄い領域に制限する」(Ortkrass)。
肝臓細胞のイメージング
肝臓は、薬剤代謝に関わる主要臓器であるので研究チームは、固定マルチカラー染色ラットの肝臓細胞を使い、セットアップをテストした。新しい顕微鏡で生成された再構成画像により、光の回折限界よりも小さな微小な膜構造可視化が可能になった。
「このコンパクトシステムは、独自に広視野とマルチカラー、パワー効率励起を備えた高速パタン切替え速度を組み合わせている。加えて、セットアップは、著しく高品質の画像を達成しており、2D-SIMまたはTIRF-SIMのいずれでも実行できるように調整可能である」(Ortkrass)。
次に研究チームは、その顕微鏡セットアップを肝臓細胞の生細胞研究に適用し、複数の薬剤で処置される細胞の動力学を観察する予定である。さらに取得した生データのライブ再構成を遂行して画像再構成プロセスを改善する計画である。